[写真]岡田克也さん、左はきょねん2019年10月宮崎信行撮影、右は1990年2月フジテレビさん撮影のニュース映像から。
あすから第201回通常国会が始まります。安倍政権による法律改正がひと段落しており、法案審議や与野党政局は低調である可能性が高いとみられます。
枝野幸男代表・安住淳国対委員長ら野党は、「桜を見る会」「IRカジノ」「自衛隊中東派遣」の3点セットで、今週の衆議院本会議・参議院本会議でのテレビ入り代表質問に臨むかまえ。
宮崎信行個人としては不動産賃貸業で12年ぶりに大きな新規事業を始めており、このブログを始めてから13回目の通常国会にして、年始から一度も国会議事堂・議員会館に顔を出さないまま、召集を迎えることになりました。やはり、顔色をうかがっていないと、議員の悪口が書けないから、不安です。さはさりながら、かなり必要とされているブログですので、大所高所から感想を述べるという「ごまかし」をしながら、書いていきます。
岡田克也さんは、おととしの「民進党強制離党」でもはやだめかと思いましたが、「野党の重鎮」として、また枝野幸男代表が頭が上がらないため、岡田さんの地位は向上しているように感じます。上記の画像のように、1990年2月に初当選するやいなや、通常国会にのぞんだ岡田さん。30年前の岡田さんはいかにも竹下派の野心家という表情もうかがえますが、岡田さんは「これから20年、30年かけて今の初心を忘れずに」との言葉から30年。政治改革法の成立、副総理就任、2度の与党運営の要など、重要な役割を果たしてきました。任意政治団体「無所属フォーラム」代表という雲をつかむような立場ですが、複数の小選挙区選出野党議員が岡田さんをとても頼りにしています。枝野幸男代表に対しては、参院選の特定の選挙区の新人候補者を明示して差し替えろと迫ったり(枝野代表の意見が通ったうえで敗北)、玉木雄一郎代表に対しては小沢一郎さんと付き合うなと強く助言しましたが、玉木さんは小沢さんと組んでしまいました。
前置きは長くなりましたが、野党の重鎮としてかなりの発言力を持ったまま、岡田さんは令和2年2020年の通常国会にも完全な現役として臨むことができました。
枝野代表、安住国対委員長がかかげる3点セットについて。岡田さんは、きょねん12月5日、ことし1月14日、同17日の公式ホームページ・ファイスブックページ・メールマガジンで次のように発信しました。
●1 IRカジノ
カジノがなぜ合法化されるのか十分な説明がないまま、数の力によって法律が成立しました。
刑法第185条の賭博罪の構成要件に該当するものを違法でないとするためには、その根拠が説明されなければなりません。競輪・競馬は公営であり、かつ収益が公共目的に使われることで、違法性が阻却されているのです。カジノは、民間企業により運営され、その収益の大部分は企業の利益となります。法律を作って様々な規制を行っているからといって、それだけで違法性阻却の根拠とはならないはずです。カジノ法そのものの刑法との整合性が問われなければなりません。
●2 桜を見る会
招待者の中には、マルチ商法を展開し、多くの被害者を出したジャパンライフの会長も含まれていましたが、総理枠で招待された可能性大です。反社会的な勢力が含まれていたことも指摘されています。
それらのことを明らかにするために必要な招待者名簿が、野党の追及にタイミングを合わせたかのように廃棄されていました。
税金の無駄使い、公私混同、証拠文書の隠滅、説明責任の放棄など、いままでの森友、加計問題と類似しますが、今回ばかりは役所に責任転嫁することはできないでしょう。私は、「桜を見る会」の問題は、民主主義の根幹に関わる重大問題であると考えています。
●3 自衛隊中東派遣
私は次の点が特に問題と考えています。
第一に、東情勢が更に不安定化する中でイラン核合意の一方的破棄やソレイマニ司令官殺害などを行った米国の要請に事実上こたえる形での派遣決定であることです。
第二に、自衛隊法上の「所掌事務の遂行に必要な調査・研究」目的で派遣されることです。自衛隊という実力組織を海外に派遣する際に、その活動内容や範囲、装備などについて法律上の限定を付して、国会で議論した上で派遣してきました。今回の派遣は防衛大臣の命令のみで、かつ情報収集活動の内容や自衛隊の装備について十分な説明すらありません。いざというときは海上警備行動を発令することとしていますから、一定の武器を装備していくことは確実ですが、高度な能力を持ったP-3Cなどがどこまで武装していくのかについての説明は全くありません。
第三に、政府は日本関係船舶の安全確保の為に必要な情報収集が目的であるとしていますが、実態は米軍との情報共有であり、自衛隊の収集した情報は当然米軍に提供されることになります。
このような見解を示しています。
このうち、IRカジノ施設法、IRカジノ実施法に関しては、法律をやり直すべきだという趣旨のことを岡田さんは言っています。岡田さんは法治主義を尊ぶ傾向が強く、一度国会を通った法律について、廃止を含んだやり直しを主張することは珍しいといえるでしょう。
2014年7月1日の閣議決定以降、法律(案)無視、既得権益者に情報的に有利な複雑な立法などで、恒久的な法律が複雑化し、国会、世論を通じて法律が空洞化しています。具体的な法案審議の中で野党が力を発揮するのにはかなり限界がありますが、昨年末も、野党は、きょう現在の高校2年生の大学受験での英語民間テスト導入と記述式答案を増やして民間に採点を委託する制度の先送りに成功しています。けさの日経新聞では、IRカジノ施設の民間業者選定のスケジュールをかなり先送りしようという機運が政府与党の一部に出てきたとの観測もあります。
野党の対案の法制執務と経済政策にはあきれるようなものも多いですが、デジタルエコノミーとシェアリングエコノミーの台頭による世界的な低成長率経済にあわせた、シンプルな民主政治の萌芽となる通常国会になるのではないかと期待しています。私は日本の未来は明るいと、本気で思っています。
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