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出先機関がない会計検査院が平成22年度検査報告 原発立地周辺地域整備資金は10年前からチェック

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[写真]決算委員であることに誇りを持ち、エネルギー特会(電源特会)の原発立地の「周辺地域整備資金」を取り上げてきた又市征治・参院議員。

 日本国憲法第90条に定める「会計検査院」は2011年11月8日、平成22年度の決算検査報告書を、野田佳彦・内閣総理大臣に提出しました。

 この中で、新聞報道によると、「数年前から調べていた」というエネルギー対策特別会計の電源開発促進勘定の原発立地自治体に対する「周辺地域整備資金」について、657億円がムダ(縮減可能)だ、と指摘しました。そもそも、このお金は経産省が「原発の新規着工の時期が仮に重なると、地元自治体への交付金が不足することを防ぐために積み立てたお金」ということで、要するに経産官僚が天下りするための預金のようなものだったようです。

 決算検査報告書をひもとくと、検査院は平成13年度(2001年度)に検査し、平成16年度(2004年度)にもそのフォローアップをしていたようです。検査院は霞が関で疎んじられる傾向があり、マスコミも朝日新聞を除くと、あまり検査院を重視していない傾向があります。2001年度というと、1997年末の小沢一郎氏による新進党解党の次の総選挙があった時期なので、小沢氏が新進党を解党していなければ、政権交代して、福島原発が爆発することもなかったかもしれないなあと感じました。

 なお、このムダとされた657億円ですが、その次年度(すなわち今年度)の第1次補正予算で、菅直人内閣(野田佳彦財務相)が500億円の減額補正をしています。これは一般会計から繰り出し、エネ特会に繰り入れる予定のお金を500億円減額したモノです。ですから、平成23年度一般会計は500億円分、自由なお金を得たという格好になりますが、あまりにも遅すぎました。

 国会法105条は「各議院または各議院の委員会は、審査または調査のため必要があるときは、会計検査院に対し、特定の事項について会計検査を行い、その結果を報告するよう求めることができる」としています。一方の会計検査院も、「会計検査院は要請に係る検査を着実に実施しその結果を国会に報告しているところである」としています。会計検査院法は「会計検査の機能の強化と活用を図り、もって国会における決算審査の充実に資するために、国会および内閣への随時の報告」が可能だと定めています。

 参議院の決算委員会では、冒頭の写真にあげた又市征治さんが「私は初当選以来、ずっと決算委員会に所属している」と胸を張ることがよくあります。その姿には、あたかも「衆議院なにするものぞ」「参議院でも予算委員は利権屋や目立ち屋だ」と言いたげな、決算委員としての矜持を感じます。

 実際、「周辺地域整備資金」にして、国会議事録データベースで又市さんが参院議員になった第152臨時国会から今国会までで調べると、 第165秋の臨時国会の初日(平成18年11月15日)、第166通常国会の9号(平成19年5月21日)、第177通常国会の9号(平成23年5月30日)と継続して質問しています。この間、「周辺地域整備資金」でヒットする議事録は28本で、そのうち3本が又市さんになりますから、勘所の良い決算審査をしていたことが分かります。 ただ、参・決算委は地味で、「3・11」前に、反映できなかったことは残念です。

 又市質問よりも前に、第162回通常国会の衆・経済産業委員会(平成17年4月8日)には、野党・民主党の細野豪志さんが質問していますが、「周辺地域整備資金ということでございますが、これはどうなんですか、財務省としてこれでいいというふうに判断されているのかどうか、お答えをいただきたいと思います」と、まだばくぜんとした質問になっています。このころは、民主党を代表する議員(名古屋市長に転出)の政策秘書が特別会計に詳しく出版もしており、民主党内で特別会計発掘作業が盛んでした。今となればほろ苦い夏休みのスイート・メモリーに見えますが、大人(政権党)になってから生きています。 

 このほか、私が平成21年度(2009年度)第1次補正予算(麻生パクリ・ピンハネ補正)で「お前は蒋介石か! 自民党が46基金(4・3兆円)を疎開させる」と批判していた一連のリーマン・ショック後の都道府県の基金ですが、約2500の基金に総額約2兆円のお金が使われず余っているようです。

 マスコミも、例えば京都支局や舞鶴支局の記者なら、http://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary22/pdf/fy22_futo_03.pdfのページをざっと見ただけでも、京都府宮津市が「地域情報通信技術利活用推進交付金」を受け取りながら、計画がずさんで、モバイル端末が全く配布されず、構築したシステムが事業期間内に稼働していなかったのにそのシステムの保守費を交付対象事業費として国に新政していたなどという検査結果が載っています。警察担当から行政担当になって、なかなか記事が出せない人は、検査院の検査報告書は「ネタの宝庫」ですし、記事にするうえでは、イチイチ会計検査院の名を出す必要もないのですから、ドンドン活用すれば、いっぱい記事が書けます。

【出先機関がない会計検査院、震災後は実地検査を中心→総務省管区行政評価局を廃止し、検査院の出先機関に衣替えすべきだ】

 平成23年度一般会計予算書(当初)の「会計検査院所管平成23 年度政府職員予算定員及び俸給額表」によると、会計検査院の職員は1276人。報道では、2010年度は約2900カ所の実地検査をし、約3800の自治体・団体を検査しました。3月11日の大震災以降は止めたそうです。会計検査院には出先機関(地方支分局)がありません。ですから、出張につぐ出張の連続。そのなかで「東大の柏市の運動場は利用率が低く有効活用が必要で154億円のムダがある」と指摘する。「全国のおいしい物が食べられてイイネ」と声をかけている余裕はありません。

 それに引き換え、総務省の管区行政評価局には1037人の職員がおり、本省にも約250人います。ほぼ会計検査院と同じ人数がいるわけですが、総務省の管区行政評価局が何か国益・国民益に資したことがあるでしょうか。出先機関改革のためにも、総務省管区行政評価局はそれ自体がムダなので、会計検査院の出先機関に衣替えしたり、内閣府行政刷新会議事務局、総務省統計局に移籍させるべき。そのぐらいのことができないと、民主党政権は何もできません。

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熟議のねじれ国会が初成果! 政治が国民の手に 相続税増税法案が廃案確実に

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 前のエントリー野党時代のガソリン値下げ隊を謝罪 与党になったアニキ・安住淳さんの下の方に書きましたが、やはり意義深いと思うので、エントリーを独立させました。

 2010年7月11日、私たち日本国民は「衆参ねじれ」という直近の民意を示しました。その熟議の国会で、最大の成果、国民の勝利ではないでしょうか。

 政府・財務省は、相続税の基礎控除額を「5000万円+法定相続人×1000万円」から「3000万円+法定相続人×600万円」に引き下げ、課税対象を推定で人口(お亡くなりになった方の人数)と比べて4%から6%へ課税対象者を広げたうえで、税率を50%から55%に引きあげる平成23年度税制改正をめざしていましたが、18日、衆議院において廃案になることが確実になりました。また来年度税制改正要望にも入らない見込みとなり、平成25年度以降への先送りが確実となりました。

 内閣は2011年1月25日に衆議院に「所得税法等の一部を改正する法律案」(177閣法2号)を提出し、議院運営委員会は2月15日に財務金融委員会に付託しました。しかし、衆参ねじれを楯に抵抗野党となった自民党の後藤田正純・筆頭理事が審議になかなか応じず、予算が参院に送付済みの3月から審議を再開したところ、東日本大震災が発生し、審議がストップ。

 ここで、新年度入りを目前にして、民主党の藤井裕久、自民党の野田毅、公明党の斉藤鉄夫の各税調会長が民公自3党の修正協議に乗りだし、野田さんが新年度の暫定つなぎ法となる「国民生活などの混乱を回避するための租税特別措置法などの改正案」(177衆法4号)を提出し、3月31日に成立しました。

 これは3ヶ月間のつなぎ法ですので、内閣は6月10日、新法として「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法などの改正案」(177閣法82号)を衆議院に提出しました。この法案は第177通常国会の会期末(結果として延長)だった6月22日に成立しました。その後も内閣は国会の承諾を得て、「177閣法2号」の名前を修正し「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法などの改正案」として成立を図ってきました。しかし、3党協議の結果、2011年11月18日の衆院財金委員会で与党側筆頭理事が修正案を提出し、「改正法案から、所得税法・相続税法・租税特別措置法に関する条文を削除し、法人税・国税通則法の改正に関する条文のみとする」と語りました。

 これにより、相続税増税部分が今国会中の会期内で成立することは絶望的になり、廃案が確実です。

 元々、議会(Parliament)は、はじめは高級裁判所、次に国王が財政難で陪臣に請求せざるを得なくなった租税に対して承認あるいは拒否する権限を持つようになり、13世紀のヘンリー3世の時代から、貴族と庶民代表の合同集会として成立したのが始まりです。だから、代表無くして課税無し、税とはすなわち政治なりという言葉が出るようになりました。それから、600年後に日本でも議会(帝国議会、国会、Diet)が成立しますが、このときも官選首長による、地租あらため固定資産税に対して各地で断続的におきた地租改正一揆が、板垣退助率いる「自由党」などによる自由民権運動を大きく押し進めました。

 今回の相続増税法案は、相続税の納税者が、国民100人辺り4人とされてきたのが、6人へと大幅拡大するものでした。しかし、「衆参ねじれ」という私たちの直近の民意がそれを食い止めたことになります。考えようによっては、資産のデフレ基調が続き、言及するのは心苦しいですが大震災もありましたので、実質的には減税基調というとらえ方もできます。民主党税調は平成24年度の税制改正で、政策調査会の厚労部門会議が重点要望している「医業継続にかかる相続税・贈与税の納税猶予の創設」は検討していますが、国会の意思にもとづく相続増税すえおきに関しては尊重する構えで、相続増税は平成25年度(2013年度)以降に先送りされる見通しです。

 今回の相続増税廃案は、衆参ねじれにより発言力を回復した自民党の考えが、政権政党に反映されたものだと思われます。

 官僚や各種団体がイチバンの政治から、一人一人の有権者がイチバンの政治へ。政権交代のその先にある、政治を国民の手に取り戻す動きは、まだ始まったばかりです。

 ◇

 すでに今週、毎日新聞が次のような記事にしていました。

相続税:政府税調、増税見送り検討 - 毎日jp(毎日新聞)

 政府税調は15日、未成立の11年度税制改正法案に盛り込まれていた相続税増税などについて、12年度でも改正を見送る検討に入った。野党の反発が強いため。消費税の増税論議を優先し、増税項目を絞り込む必要があると判断した。一方、公明党が賛成する地球温暖化対策税(温対税)創設は、12年度改正での実現を目指す。

 11年度改正では、法人税の実効税率引き下げや相続税増税などを盛り込んだが、自民などが反対。このうち、東日本大震災の復興財源に関わる法人減税は野党が了承したため、相続税増税など残りの項目はひとまず税制改正法案から削除することを決めていた。

 それでも、相続増税などの成立は12年度でも困難との見方を強め、税と社会保障の一体改革に伴う税制抜本改革で改めて議論する戦略に転じた。

 また、民主党税調は、12年度税制改正で総務省が要望した固定資産税と都市計画税を軽減している特例措置の見直しについて、見送る方向で検討に入った。13年度以降の税制改正で改めて検討する。

 総務省や全国の市町村会などは、地価下落などで税収が落ち込むとして、特例措置の縮小による税収確保を主張するが、景気への配慮から存続を求める声も根強く、意見集約は難しいとの見方が強まった。【小倉祥徳】
毎日新聞 2011年11月16日 東京朝刊

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今後の政治日程(2011年11月20日版)を更新しました。

「附則104条は私が書いた」礒崎陽輔さんがヒント?消費増税準備法案は「経済状況好転が前提」

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[写真]参院自民党の礒崎陽輔さん、2011年11月21日、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

【2011年11月21日(月)参・予算委】

 参・予算委が月曜日午前9時から、参・本会議が午後1時設定という異例な国会日程となっています。

 参・予算委は平成23年度第3次補正予算(案)のしめくくり質疑に入りました。採決のうえ、可決(民公自)。本会議に緊急上程のうえ成立する見通しです。

 しめくくり質疑で、参院自民党は礒崎陽輔・理事を起用しました。

 礒崎さんは、2012年3月31日までに国会に提出しなければいけない、と解釈されている「消費増税準備法案」について、附則104条は「景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする」との条文から、経済状況が好転していなければ、2012年3月31日までに消費税増税準備法案を出さなくてもいいという趣旨と思われる発言をしました。政府に対する一つのヒントだと思います。

 震災後、参院自民党は、82人中十数人の議員が質問者、提案者、答弁者としてヘビーローテーションで登場する「正念場」となっており、その他大勢の議員がいつか造反などのスタンドプレーにでないか懸念されます。先週の衆院本会議でも自民党の谷公一さんが礒崎さんが8月に提出した復旧交付金の法案について「いわば礒崎法案と呼ぶべきものだ」として、閣法に取り込まず、参法として審議、成立させるべきだという趣旨の演説をしました。今までの日本の国会ではあまりなかったシーンです。ただ、法案をよく読んだら、紐付きなので、そのまま成立させるべき法案ではない、と私としては判断しました。

 それはさておき、自民党の前の与党期最後となった第171通常国会で成立した「所得税法など国税改正法」の「附則104条」について、礒崎さんは「私が書いた」と述べました。礒崎さんは当時1回生で2年目の議員でしたが、党税調の事務局をやっていたのでしょうか。礒崎さんは地方税制を企画する自治省出身で、総務省自治税務局と財務省主税局は「50年戦争」と呼ばれる激しい対立関係のなか、国税と地方税をめぐる議論を続けてきました。

 野田総理は、社会保障と税の一体改革について、消費税増税法案は2012年度、社会保障の一体改革成案の一連の法案は2013年度に出すというタイムスケジュールを重ねて提示しました。しかし、「一体」とは「同時」と同じ意味。これは民間の複式簿記ではイロハのイ。国の単式簿記の社会で生きてきて、さすがの財務官僚も勘違いしたのではないか、と私は推測しています。

 なお、礒崎さんの「ヒント」は、民主党も自民党も方向性は一致している消費増税準備法案を提出させずに、平成24年度の特例公債法案の成立(参院での自民党の賛成が不可欠)を衆院解散の6月前後への前倒しに引き換え条件として明確化させるゆさぶりかもしれません。これについて、衆院予算委でのしめくくり質疑で自民党の元財務大臣・伊吹文明さんも「消費税増税準備法を成立させて、(民主党が)選挙に負けたら、(消費税増税のプログラムは)どうするんですか。日本の未来のために、民主党は党をまとめて(第46回衆院選)マニフェストに(消費税増税を)入れてください。自民党もマニフェストに入れますから。以上!」と述べて、質疑をしめくくっています。

 自民党のターゲットが消費税増税準備法案ではなく、平成24年度特例公債法案であることが浮き彫りになりつつあります。

衆議院議案ホームページから引用はじめ(注:現在は法律案ではなく法律)]

第一七一回

閣第六号

   所得税法等の一部を改正する法律案

 (所得税法の一部改正)

(略)

附則

(税制の抜本的な改革に係る措置)

第百四条 政府は、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げのための財源措置並びに年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用の見通しを踏まえつつ、平成二十年度を含む三年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。この場合において、当該改革は、二千十年代(平成二十二年から平成三十一年までの期間をいう。)の半ばまでに持続可能な財政構造を確立することを旨とするものとする。

2 前項の改革を具体的に実施するための施行期日等を法制上定めるに当たっては、景気回復過程の状況、国際経済の動向等を見極め、予期せざる経済変動にも柔軟に対応できる仕組みとするものとし、当該改革は、不断に行政改革を推進すること及び歳出の無駄の排除を徹底することに一段と注力して行われるものとする。

3 第一項の措置は、次に定める基本的方向性により検討を加え、その結果に基づいて講じられるものとする。

 一 個人所得課税については、格差の是正及び所得再分配機能の回復の観点から、各種控除及び税率構造を見直し、最高税率及び給与所得控除の上限の調整等により高所得者の税負担を引き上げるとともに、給付付き税額控除(給付と税額控除を適切に組み合わせて行う仕組みその他これに準ずるものをいう。)の検討を含む歳出面も合わせた総合的な取組の中で子育て等に配慮して中低所得者世帯の負担の軽減を検討すること並びに金融所得課税の一体化を更に推進すること。

 二 法人課税については、国際的整合性の確保及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベース(課税標準とされるべきものの範囲をいう。第五号において同じ。)の拡大とともに、法人の実効税率の引下げを検討すること。

 三 消費課税については、その負担が確実に国民に還元されることを明らかにする観点から、消費税の全額が制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用に充てられることが予算及び決算において明確化されることを前提に、消費税の税率を検討すること。その際、歳出面も合わせた視点に立って複数税率の検討等の総合的な取組を行うことにより低所得者への配慮について検討すること。

 四 自動車関係諸税については、簡素化を図るとともに、厳しい財政事情、環境に与える影響等を踏まえつつ、税制の在り方及び暫定税率(租税特別措置法及び地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)附則に基づく特例による税率をいう。)を含む税率の在り方を総合的に見直し、負担の軽減を検討すること。

 五 資産課税については、格差の固定化の防止、老後における扶養の社会化の進展への対処等の観点から、相続税の課税ベース、税率構造等を見直し、負担の適正化を検討すること。

 六 納税者番号制度の導入の準備を含め、納税者の利便の向上及び課税の適正化を図ること。

 七 地方税制については、地方分権の推進及び国と地方を通じた社会保障制度の安定財源の確保の観点から、地方消費税の充実を検討するとともに、地方法人課税の在り方を見直すことにより、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築を進めること。

 八 低炭素化を促進する観点から、税制全体のグリーン化(環境への負荷の低減に資するための見直しをいう。)を推進すること。

[引用おわり]


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3次補正予算が成立 自民党が討論で「これをもって協力は終わります」と宣言

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[画像]平成23年度第3次補正予算(案)の賛成討論に立つ民主党・新緑風会の金子洋一さん、2011年11月21日、参議院インターネット審議中継から。

【2011年11月21日(月)参・予算委】

 民主党は高知県選出で自治労組織内の武内則男さんが質問しました。人事院勧告不実施を求めました。

 続いて、自民党からは礒崎陽輔さんが登場。「給与引き下げ関連法案はことしの人勧を内包している」と答弁する川端達夫総務相や野田佳彦首相に対して、「人勧を実施して、給与引き下げ関連法案を成立させればいい」と反論。そのうえで「じゃあ、聞きましょう、野田総理は連合と人勧不実施を約束しましたか?」とストレートな質問。これに対して、総理は「給与引き下げ法案の成立だけで、それ以外はない」としました。礒崎さんはたたみかけて、「あるんでしょう。人勧不実施で、労働協約締結権を得たいんでしょう」として、労働協約に多少の理解は示しながらも、「ひきょうなやり方だと思いますが、どうですか?」と質問しました。

 この間、答弁の不一致などで山本一太・野党側筆頭理事の抗議でたびたび審議がストップしましたが、石井一委員長が「礒崎さん、あなたも理事なんだから、後で理事会で協議しましょう。質問を続けてください」と切り返しました。


[画像]安定した運営をした石井一・参院予算委員長。
 公明党の浜田昌良さんは、TPPの説明責任について質問。野田総理は「すべての外交交渉は2項対立ではないと思います」と答弁しました。浜田さんは「私も(通産省出身でもあり)自由貿易は推進する立場ですが・・・」と現在の公明党の党議と若干違和感がある切り返しをしました。

 浜田さんの「ウォール・ストリートの格差是正デモが起きている理由はなぜか」との質問には、財務大臣の安住淳さんが「行きすぎた金融市場が実態経済からかけ離れているのが原因だ」と答弁しました。これはともに、ペーパーをみずに、自分の言葉で答弁したようすで、こういう根本中の根本の状況認識で、総理と財務大臣が背骨の通った答弁をしたことはタイヘンな安心感・安定感がありました。

 このほか、浜田さんは原子力被害者への賠償支援について質問しました。ただ、これ以外の委員はほとんど3次補正予算のメニューへの質問がなく、残念でした。また、浜田さんはペーパーを見ながら「ところで野田総理はトインビーの信奉者でしょうか?」というなぞの質問をし、総理はトインビーの言葉についての感想は述べませんでしたが、質問そのものには答えませんでした。何だったんでしょう。国会も疲れるわ。

 この後、討論の中で、自民党の赤石清美さん(全国比例、2016年改選)が賛成討論に立ち、「この補正を持って自民党は協力を終わります」と宣言しました。かねて見通し報道がありましたが、ハッキリと議事録に残りました。そのうえで、赤石さんは「これからは閣僚の資質を追及していきます」としました。公明党の竹谷とし子さんは「公明党の提案が一部盛り込まれた」「今後は予算の執行が大事だ」と賛成しました。一方、日本共産党の田村智子議員は「復興債の償還財源を庶民増税に頼っている。その一方で法人税など大企業減税が進んでいる」として反対討論しました。

 この後、採決され、民主党、自民党、公明党、みんなの党、たちあがれ日本・新党改革、社民党・護憲連合が賛成し、正午前に可決しました。

【2011年11月21日(月)参・本会議】

 平田健二さんが初めて議長席に座りました。

 石井一・予算委員長が報告。その後の採決で、平成23年度第3次補正予算が可決、成立しました。投票総数は231、賛成225、反対6。

 この後、野田首相のホノルルAPEC(アジア太平洋経済協力)やバリ島でのASEAN+3(東南アジア、日本、中国、韓国)などの2週にわたった国際会議の報告とそれに対する代表質問。

 またこの後、片山さつきさんら提出の「二重ローン軽減法案」(「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案」=第177回国会参法第12号)の衆院修正部分の回付案が可決・成立。みんなの党は、「参法の共同提出者の自民党や公明党には大変申し訳ないが、衆院での修正部分に納得できない」(先週の委員会での桜内文城さんの討論)として反対。先週の委員会では、片山さんが「JA(農協)、JF(漁協)、商工会議所の窓口になってもらいたい。銀行の支店までは、(被災者の方は)行けないですよ」と答弁しており、少し残念な気もしますが、それは現実だと思います。


 衆院先議が原則のため、参院本会議は、会期末前日ごろに17本ほどの日程(議案)が集中したりすることがよくあります。ただ、会期末まできょうを入れて14営業日ある時点で、これだけてんこ盛りの本会議は異例です。これは課題が先送りになってきた証拠ですが、逆にスピードアップしている証拠ともいえます。現時点では良し悪しは判断できません。

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「咲く花に言えば愚痴に笑う笑顔の花を」 阪口直人さんが自転車戸別で支持者から励まし

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 和歌山2区の阪口直人・衆院議員が今週日曜日、日常活動としての自転車戸別で、「あんたに読んでもらいたくて持ってきた!」として書をもらったことを自身のブログで紹介していました。

 この写真、阪口さんの後ろに1台自転車が停まっていて、のぼりが立っています。スタッフと2人で回っていて、そのスタッフが撮ったのでしょう。

   

 「咲く花にいえば ぐちに笑う 笑顔の花を」。

 今の与党・民主党の1年生衆院議員が愚痴を言わないというのは、苦行です。でも、それを見抜いている有権者はどこの選挙区にも必ずいますから、こうやってきっかけがあれば、こういうことがあるんだな、と感じました。

 家にいれば、代議士が自転車であいさつ回りしていれば、その気配がわかります。いてもたってもいられなければ、阪口代議士に伝えたいことを紙に書いて、サッと渡せるようにして、国民としてもすっきりします。いろいろな方法があります。その手段は多様化しています。ただいずれにしろ、「きっかけ」が必要です。

 阪口さんはこの男性と初対面だったようです。やはり政治家というのは「見られている」んだなと感じます。だから政治家はどんなときでも赤信号を渡ってはいけないのです。で、戸別訪問でいやな思いをすることもあるでしょうが、それをいやすのは、早く次の呼び鈴を押すことしかないんでしょう。ずっと押し続けていれば、必ずこういう立派な方との出会いがあります。

 冬来たりなば春遠からじ。ちなみに、wikipediaによると、「紀州梅の会」は6月6日を梅の日と定めているようです。

 和歌山2区に来年も、いつもと同じくらいあるいはもっと立派なミカンの実、梅の実が成ることを願っていますし、そうなりそうな気配を感じました。

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政権交代のキーマン菅義偉・自民党組織運動本部長「解散すべきではない」

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 政権交代のキーマンとも言える、神奈川2区の衆院議員で、自民党組織・運動本部長の菅義偉さんが2011年11月24日(木)夜のBS11「インサイドアウト」に出演し、「私たちは解散すべきではなく、民主党のやっていることを議会でキチッと突いていきたい」と述べ、早期解散に否定的な考えを示しました。

 菅さんは同日の自民党役員会での谷垣禎一総裁(影の首相)らとのやりとりを披露。

 「私は組織運動本部長として、党員(獲得)のお願いで、各県連の幹事長を回っているが、きのう会った県の幹事長も、自民党をしっかり立て直してくれ、と言っていた」、「私は国民の自民党に対する期待は、民主党を倒してくれ、ではないと思うんです。国民は自民党に、変わってくれ、と思っているんだと考えています」としました。同日の役員会でもその趣旨の発言をしたところ、数人の党幹部から同調の声が続いたそうです。これは、来年4月〜6月の早期解散をねらう石原伸晃幹事長らをけん制した発言だと思われます。

 実際に、菅さんが代表を務める「自民党神奈川県連」では、県議である幹事長が、昨年の第22回参院選で「自民党神奈川県連はこのたび、チーム神奈川に生まれ変わりました」と演説していました。「ご紹介したように支部長もドンドン決まっています。小泉進次郎さんらを筆頭にホップ、ステップ、ジャンプ・・・この参院選がホップ。来年春の統一地方選がステップです。そして次の衆院選でジャンプ、と政権交代していきます」という趣旨の演説をしていました。ホップ、ステップは順調に来ましたが、ジャンプはどうなるでしょうか。

 正直、「自民党神奈川県連はチーム神奈川」(たぶん表記はチームKANAGAWA」に変わりました」というのは訳が分からない話で、たんに自民党という古い看板を出したくないだけでは。それはさておき、壇上の小泉進次郎さん(現在は自民党青年局長)らフレッシュな面々が注目を集める中、ビラを配る男性の一人が第45回衆院選で小沢ガールズ(岡本英子さん)に敗れた、自民党神奈川3区支部長で元経産副大臣(当選5回)の小此木八郎さんだということに認めました。途中で移動したので演説会の最後まで聞いたわけではありませんが、小此木さんの名前の紹介はなかったと思います。浮き足立っているようで、しっかりと地に足をつけた自民党のまとまりを感じました。


[写真]演説会でビラをまく、小此木八郎さん。

[写真]すぐに知り合いに声を掛けられ談笑する小此木八郎さん。

 その一方、第45回衆院選敗北の責任を取って辞任した二階俊博さんのあとを継いで自民党選挙対策局長になった河村建夫(かわむら・たけお、衆院山口3区)さんは、ドジョウのようにもぐってしまって姿が見えないですね。でも、新聞の地方版を読むと、けっこうしっかりやっているようです。


[写真]着実に衆院総支部長を擁立している河村建夫・自民党選対局長。

 例えば元国交相の馬淵澄夫さんの地元の奈良1区の自民党支部長。馬淵さんは第44回郵政選挙で近畿ブロックの1区(都市部が多く風に流される傾向が強い)の中ではただ一人、勝っています。その対抗馬になるので、以下の毎日新聞記事だと、公募にはわずか4人だけだったようです。そして選んだ人が辞退してしまい、党本部にお願いしたようですが、河村選対局長は「もう少し地元で努力してほしい」と言ったようです。こうやって、地道にやっているんですよね。もう少し、民主党もマスコミも、こういうところに目を向けてほしいものです。ホントTPPとか、税制改正とか、「偉い人」だけの話でしょ。

[毎日新聞記事から引用はじめ]

自民県連:次期衆院1区候補者、公募で決まらず 四役に擁立一任 /奈良 - 毎日jp(毎日新聞)

自民県連:次期衆院1区候補者、公募で決まらず 四役に擁立一任 /奈良
 自民党県連(奥野信亮会長)は30日、奈良市内で選対本部会議を開き、公募していた次期衆院1区の候補者について、応募者の中からは決まらなかったことを報告した。今後、候補の擁立は幹事長ら四役に一任することを決定。改めて候補をリストアップし、本人に打診して11月末までに選定したい考えだ。

 公募には4人が応募していた。選考では40歳代男性に絞ったが、男性が9月の最終選考直前に辞退した。また、その後、党本部にも候補擁立を要請したが、河村建夫・党選対局長から「もう少し地元で努力してほしい」などと注文されたという。【阿部亮介】

[引用おわり]

 やはり党内の上下関係で、下にある人がしっかり物を言えるというのが自民党です。

 自民党が堅調に支部長を擁立していることを考えると、民主党にとっては来年度予算を成立させたら、すぐに解散した方がいいかもしれません。

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自民党は決算委員長の仕事をしないで解散風を吹かすな

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[写真]衆・決算行政監視委員長の新藤義孝さんと参・決算委員長の山本順三さんの2人の自民党議員。背景の自民党本部写真は筆者が撮影した物。

【衆参とも決算委員長を務める自民党は、決算審査を終えてから解散風を吹かすべきだ】

 政府は、会計検査院の意見をつけて、2011年11月22日(火)に、衆議院と参議院に別々に「平成22年度決算(案)」を提出しました。財政法では通常国会冒頭に出すことになっていますが、最近では会計検査院が頑張っていて、秋の臨時国会に提出しています。

 衆院決算行政監視委員会は、24日(木)に10分ほど会議を開き、「平成21年度の予備費」の国会での事後承諾を求めるという議案について、安住淳・財務大臣から趣旨説明を聴取しました。予備費とは、 当初予算に通例1兆円盛り込まれていて、その範囲内で災害の復旧工事などで、閣議の決定で歳出することができるお金で、翌年度に国会の事後承諾を受けることになっています。

 今後、この予備費の使用調書を審査して、その後に平成21年度の決算(一般会計、特別会計、政府関係機関など)の審査をします。そして、そのまた後に、平成22年度の決算の審査をするのでしょう。

 夏休みの宿題が溜まった小学生時代を思い出すのは、私だけではないでしょう。 

 ちなみに、日本中のほとんどの地方議会はすでに平成22年度の決算審査を終えています。

 平成21年度決算(案)は、自民党麻生政権が当初予算を編成し、4月に第1次補正で14兆円増額し、政権交代後の10月に民主党鳩山内閣が第2次補正で歳出の減額などの補正をしたものです。ですから、審査が難しいのは分かっていますが、それとこれとは別です。

 衆・決算行政監視委員長は新藤義孝さん(埼玉2区)、参院決算委員長も、自民党で、山本順三さん(愛媛県選出)が務めています。衆参とも決算委員長は自民党なのですから、第46回総選挙での政権交代をめざすうえで、平成21年度決算は当然として、平成22年度決算も府省別の審査や総理への総括質疑をし、議決したうえで、解散を求めるのが当然でしょう。衆参とも平成22年度決算審査が仕上がっていない状態で、選挙をやっても、どちらが勝っても、その政権は上手く行かないでしょう。仮に決算審査が意味のないセレモニーだとしたら、国会など不要です。

 決算(案)は他の議案と違い、衆院先議などが該当せず、両議院が別個に審査し、別個に議決(認定、不認定)することができます。

【第179臨時国会は延長せず12月9日(金)で閉会すべきだ】

 第179臨時国会は会期末まで残り2週間となりました。第3次補正予算(東日本大震災復興、原子力被害の賠償や研究など、全国自治体の防災対策、年金財源の安定化、台風19号復旧、B型肝炎賠償の基金の新設など)を成立させることができました。また、本来は一体的(同時)に成立させるべき歳入関連5法案(復興債発行、平成23年度税制改正積み残し、地方交付税増額法案、全国防災費のための地方税措置)が参院本会議できょう25日審議入りしました。5法案は衆院段階で3党修正が入り、賛成多数(日本共産党が反対)ないしは全会一致で可決していますので、参院でも過半数を上回り成立する運びです。

 東日本大震災復興基本法にもとづく、3点セット、復興債・復興特区・復興庁は、復興債が上述の通り、参院で審議入りし、参・財政金融委員会(尾立源幸委員長=民主党)が審議していて、成立の見通し。復興特区は、衆・復興特別委(古賀一成委員長=民主党)が審議していますが、衆参与野党による修正協議がまとまっており、修正可決のうえ、参院に送られ、おそらく会期内に成立するでしょう。復興庁設置法も衆院本会議で代表質問が済みましたが、閣法の「本部は東京」「他府省に勧告できる」という部分が「本部は仙台」「他府省を上回るスーパー官庁に」という意見がでており、難航しています。

 それと、2大政党と7中小政党が話し合っている衆院の定数是正・定数削減・選挙制度改革の3点を協議する会合(座長は民主党幹事長代行の樽床伸二・衆院議員)がもめています。ただ、内閣府にある「衆院選挙区区割り画定審議会(村松岐夫会長ら7委員)」の設置法にある「1人1枠方式」を定めた条文では、民主党の樽床座長と自民党の細田博之さんの間で削除することが合意できていますので、議員立法で今国会中に改正区割り審設置法が衆参で過半数以上で可決します。しかし、民主党参院議員会長と民主党幹事長を兼ねる輿石東さんが、慎重な姿勢をもっています。定数削減と選挙制度改革は来年に持ち越しになるでしょうが、定数是正に関しては、今年中でないと、来年2月25日の総理への新区割りの勧告に間に合わないでしょう。ぜひ今国会中に成立させるべきです。なお、新区割りの勧告の後、衆参で公職選挙法改正案が成立させる作業が必要です。しかし、区割り審の村松会長が総理の野田さんに勧告した時点で、第46回衆院選の区割りは分かるので、改正公職選挙法が成立すれば、周知期間をおかずに、すぐに総理が解散しても合憲合法だという学説や解釈が有力です。さらにいえば、現在第1党の民主党にとっては、抜き打ち的に解散した方が有利である可能性が高いと考えられます。

 このように様々な神経戦が行われている大震災イヤー納めの第179臨時国会です。今週辺りでは、野田総理や、安住財務大臣の答弁は安定しています。しかし、川端達夫大臣などはかなり答弁がキツイ状態になっています。おそらく文科大臣のときは、文部科学省という一つの役所でしたが、現在は、総務省と内閣府地域主権本部、内閣府北方対策本部、内閣府沖縄振興局を兼ねているので、優れた組織人である川端さんには、かえって手の抜き所や大づかみな議論が分からなくなっているのかもしれません。このほか、自民党議員が「質問通告しましたよ」としながら、民主党大臣が「質問通告は受けていないと思いますが・・・」と口ごもる場面がより増えてきました。

 私は第179臨時国会は当初会期通り12月9日(金)で閉会すべきだと考えます。そのうえで、衆参決算委員会は閉会中審査で決算審査をすべきでしょう。いずれにしろ、大臣は土日も閉会中も東京にいなくちゃいけないので、予算編成・税制改正に余り関係ない大臣、例えば、人件費が中心の法務省や外務省の大臣を衆参で午前と午後のたすき掛けで呼んで、ドンドン府省別審査を進めればいいでしょう。

【野田首相が4次補正を組まない可能性に言及、できれば時間の余裕ある年始に】

 また、野田佳彦首相がきょうの参院本会議で、二重ローン軽減法(片山さつき法)などの追加財政需要を予備費で対応し、今年度はもう補正予算を組まない可能性に言及しました。その方が、年越し後、じっくり準備してから、第180通常国会にのぞむことができます。私はその方が賛成です。

 解散風が吹くとどうしても、あわてふためく人がいますが、こういうときこそ、君子は本を務む、本立ちて道生ず。しかっり決算を審査して、たっぷり時間をとって来年の計をはかる。二大政党どちらが勝とうと、しっかり日本を立て直すには、それしかありません。


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(このエントリーの初投稿日時は2011年9月26日(月)午後5時半)

 平成23年9月26日付で、「国会傍聴取材支援基金」(こっかいぼうちょうしゅざいしえんききん)=代表者 宮嵜信行の口座を開設しました。ぜひ国会傍聴取材と当ブログの更新を継続するために支援基金へのご協力をお願いいたします。

■郵便局から振込みの場合
口座: ゆうちょ銀行
記号/10080 番号/70606861
口座名 国会傍聴取材支援基金(コッカイボウチョウシュザイシエンキキン)

■銀行から振り込みの場合
口座/ゆうちょ銀行
店名/ゼロゼロハチ・0一八(「ゆうちょ銀行」→「支店名」を読み出して『セ』を打って下さい)
店番/008 預金種目/普通預金 口座番号/7060686 
口座名 国会傍聴取材支援基金(コッカイボウチョウシュザイシエンキキン)

連絡先・お問い合わせメールアドレス
kokkai-blog@mail.goo.ne.jp
 (宮崎信行)

私が国会傍聴とそれにもとづくブログ執筆のため、時間の確保と、交通費、資料代などに充てるため、本日、上の口座を開設しました。ぜひとも、このブログを続けるために、ご支援をいただきたく存じます。ぜひ、ご支援をお願いいたします。

?口座 ゆうちょ銀行 総合口座 「国会傍聴取材支援基金(代表者 宮嵜信行)」
?政治団体ではありませんので、支援者のご住所・お名前のご連絡は必要ございません。
?支援金を頂いた際は、支援者のイニシャルなどをブログ上で報告します。
?会計報告は半年ごとを予定しています。
?寄付金控除の対象にはなりません。

「国会傍聴記by下町の太陽・宮崎信行」
国会傍聴とブログ執筆における1ヶ月間の経費はおよそ6万3200円となっています。
 
国会議事堂までの電車代(JRと地下鉄)6000円程度。(回数券、時差回数券も活用)。
NTT回線料:1,800円。
プロバイダ料:2,700円。
携帯電話:8000円(基本使用料4割引などハーティー割引を活用)
Gooブログアドバンス会費 毎月定額200円
G-search(新聞過去記事検索システム)使用料 平均 5000円(見出し1本5円、本文1本100円の課金制)
新聞・雑誌定期購読代(朝日、日経、東京、公明各新聞、週刊自由民主など)20,000円
ニコニコ動画プレミアム会員費 500円
文房具代:1000円(コピー用紙、メモ帳、ノート、ボールペン、鉛筆、消しゴムなど)
書籍資料代:5000円(年2回の国会議員要覧、政治家の回顧録=中古など)
被服代 2000円(国会内はスーツとネクタイでないと、「相手を見られる」のは事実)
交際費(国会議員との飲食、新聞記者とのコーヒー代割り勘が原則)5000円。
粗品代(傍聴券手配でお世話になっている各事務所への時折のお茶菓子)総額6000円
合計月6万3200円になります。

 このほか、選挙時の出張用の費用、パソコンとその周辺機器の減価償却費を見積もると、10万円弱になってしまいます。これまでは地方部の選挙区に取材しているようで、よく考えると新幹線沿線ばかりだという反省もありました。自動車で移動できない選挙区での取材交通費・宿泊費を考えると、これはかなりの額になります。

 ただ、必要経費6万3200円と見積もりましたが、政権交代後の2年間は、徹底的に経費を圧縮し、かなりやせ我慢してきたのが事実です。それは、2008年〜2009年の第45回総選挙を前にした民主党の日常活動・兵糧攻め対策のための出張旅費に前倒したものであり、ワイズ・スペンディングだと考えています。ただ、これからも国会傍聴取材はずっと続けていきたいです。広く薄く支援金をいただいて、自由な時間と整った環境の安定性を確保することが、肝心要だと考えております。

 この背景には、主要な収入源である、障害厚生年金3級が物価スライド(デフレ)により、支給額が減る一方、国民年金(老齢年金)の定額保険料が毎年増額するので、可処分所得が減ったことが大きいです。意外に思われる方も多いでしょうが、障害厚生年金受給者も国民年金保険料は健常者と同額納めなければならないのです。また、不動産賃貸収入は私一人で独占できる性質のマネーではなく、デフレで賃下げ貴重で、自由な活動費・十分な活動時間の確保の見通しが悪くなっています。

 たとえば、これは政治記者にとっては恥ずかしいことに昨年から読売新聞をとっていませんでした。読売は国会審議の大前提となる日程情報にすぐれています。もちろん、総選挙になれば、大企業であり地方に根を張る情勢分析は、絶対的に必要ですのでとることになります。また、日本農業新聞は農水委、財金委(JAバンク)に加えて、政治コラムなどがあり、とりたくてしょうがないのですが、残念ながら大震災以降、何度も購読再開を考えながらも、あきらめてきました。
「G-search」は、新聞各紙(全国紙、地方紙に限らず、公明新聞、赤旗、週刊誌,業界紙含む)を検索できるシステムです。ブログ内の「宮澤解散前後の自民党総務会」だとか、「英国議会で今の国会と似た例があります」と紹介しているのは、ここから引っ張り出した情報です。ただ、見出し1本表示で各5円、1記事表示で100円といった課金システムで、これまでは全額持ち出しでやってきました。初めは「好きでやっているのだから」ということでしたが、最近は検索本数をためらうこともあります。これもご支援いただければ、より積極的に活用し、面白くてためになる事例を記事で紹介できる幅がでてきます。

 ご存じの通り、このブログのおかげで、テレビ、週刊誌など既存メディアにも進出しました。しかし、今年になってから、雑誌の売り上げは数%台後半の減少ということで、経費節減のため、あまりお声掛けいただけなくなってきました。もちろん私が「あまり政局は興味がない」という姿勢を正直に申し上げていることもあるかと思います。しかし、引き続き、国会議事堂内のことを傍聴、取材し、その中で、空間と時間を切り取って、ブログで紹介するという活動は続けていきたいと考えています。

 日本を代表する新聞が「国会審議 ここに注目しました」というコーナーを始めたので、私の役目は徐々に既存メディアに引き継いでいけるのかな、とうれしくもややさみしい気持ちになりましたが、そのコーナーは消えてしまいました。やはり大新聞社でも、官邸、与党内各グループ、外務省などに派遣すると人繰りが足りず、民主党代表選のさいちゅうは通常国会会期末なのに、国会の話題が消え、私は、参議院での首班指名がどうなるか気が気でありませんでした。けっきょく、野田さんが110票、谷垣さんが108票ということでしたが、小政党や無所属の動向いかんでは、両院協議会になるところでした。もちろん両院協議会の結果、衆院の院議が優先され、野田さんが首相になるという「結論」は変わらないのですが、「プロセス」の明確化が民主政治(デモクラシー)の基本中の基本です。大新聞社でも、参議院の各会派を回る記者を一人だけ配置するということができなかったようです。

 私は民主党支持ですが、これは、政権交代可能な二大政党制(もちろん、第3党を排除するのではなく、与党第1党を担える党が2つあるべきだという考え)を日本に根付かせるためには、半世紀にわたる与党から自民党に降りてもらわなければいけなかったわけで、選択肢は一つでした。今後は、できれば、次の総選挙で、政権交代した方が、システムへの国民の理解も広がるかなと考えていますが、いずれにしろ、国会内という宝箱からいろいろな情報やあるいは人間劇を切り出していきたいと考えています。他に続く人がいればいいのですが、現状ではいません。ぜひご支援いただいて、政治を国民の手に取り戻す第一歩である、「国会の中のこと」の道先案内人になっていきたいと考えます。ぜひ、ご支援のほどをよろしくお願いします。

                                                          平成23年9月26日 宮崎信行(宮嵜信行)

国会傍聴取材支援基金 規約

?(名称)
本会の名称は「国会傍聴取材支援基金」と称する。
?(所在地)
 本会は、東京都(以下略)に置く。
?(目的)
本会は、国会ジャーナリスト・宮崎信行の国会傍聴取材活動の支援を目的とする。
?(会員)
本会に、次の役員を置く。
 会長 1名。
(役員の職務)
 会長は、本会の代表者として本会の活動全般を代表し、会計を把握し、監査する。
 (役員の選任および任期)
 役員は総会の決議に基づき選任し、任期を一年とする。
(運営)
 国会傍聴取材支援基金総会は年一回開催し、役員の改選、年間計画の報告、会計報告、予算について審議する。
(変更)
この規約は総会において、出席者の3分の2以上の承認があれば変更できる。
 (設立年月日) 平成23年9月26日
本規約は平成23年9月26日から適用する。

tags http://regimag.jp/b/sample/list/?blog=65 国会傍聴 下町の太陽 宮崎信行 元日経記者 政治ブログ

ひとつひとつ、乗り越えていく。玄葉光一郎外相、日米地位協定の刑事裁判権の運用で前進

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[写真]玄葉光一郎外相とクリントン国務長官、2011年11月11日、ハワイ、外務省ホームページから。

 玄葉光一郎外相(衆院福島3区)は2011年11月24日、日米地位協定の運用の見直しで、日米政府が合意したと発表しました。

 日米安保条約、日米地位協定という書き方しかされませんが、実際には、「日米相互協力および安全保障条約」であり、その第6条に基づき「(在日米軍の)施設および区域ならびに日本における米国軍隊の地位に関する協定」です。いわば、法律と政令のような組み合わせになっています。

 私もていねいに読んでみたら、日米地位協定の第17条に刑事裁判権の規定があります。このなかで、1の(b)に「日本国の当局は、合衆国軍隊の構成員および軍属ならびにそれらの家族に対し、日本国の領域内で犯す罪で日本国の法令によって罰することができるものについて、裁判権を有する」となっています。

 今回の運用見直しにつながった、ひき逃げ事件は当然にして、日本の領域内で犯した罪です。

 しかし、第17条の3に「裁判権を行使する権利が競合する場合には、次の規定が適用される」(a)「合衆国の軍当局は、次の罪については、合衆国軍隊の構成員または軍属に対して裁判権を行使する第1次の権利を有する」(?)公務執行中の作為または不作為から生ずる罪」とあります。すなわち、今回は基地から家に帰る途中なので「公務執行中」であり、「軍属に対して」「合衆国の軍当局」が「裁判権を行使する」ことの「第1次の権利を有する」ことになります。しかし、第1次の権利を持つ、ということですから、今回はアメリカがこれを放棄し、日本の検察・裁判所が裁判権を持ったという意味なのだと思います。

 玄葉外相は26日(土)、沖縄県を訪れ、仲井眞弘多知事と会いました。仲井眞さんは「県民の中には地位協定の抜本的な改定という要求が強くある」としながらも、「一歩一歩解決していただくのは大変ありがたい」と述べました。

 それにしても、上の日米地位協定、「(?)」という記号どうやって打つのかなと思ったら、ワープロで案外と簡単に変換できるものですね。

 ところで、日米安保条約の前文をみなさんは読まれたことがあるでしょうが。私もこの機会に初めて読みました。日本とアメリカという空間軸、50年間の平和と繁栄という時間軸を大きく感じさせる物でした。

 日米相互協力および安全保障条約

 日本国及びアメリカ合衆国は、
 両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、
 また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、
 国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、
 両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、
 両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、
 相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、
 よって、次のとおり協定する。

 これが日米相互協力および安全保障条約の前文です。

 まあ、何か押しつけ憲法といわれる日本国憲法前文と似ています。憲法制定の1946年から14年後の1960年発効の二国間条約ですので、日本語はこなれています。

 TPP(環太平洋パートナーシップ条約)の交渉の事前協議に野田政権は参加しています。それは太平洋を隔てた永遠の隣国であるアメリカと日本の一層緊密な経済的協力を促進し、経済的安定や少子高齢化に悩むわが国の福祉の助長につながります。例えば、日米同盟(日米安保条約)がなくて、わが国のバブル経済がありえたはずがありません。そのころ、日米では日米構造協議がありました。これは、Structure Impedement Ivolvement であり、日本語に翻訳するなら、「日米構造障壁協議」とすべきですが、「日米構造協議」となっています。おそらく当時の通商産業省がそう訳したのでしょう。しかし、今はそのようなごまかしは利きませんから、TPPに関しては国民的な議論が必要な情報を公開しないといけません。またオールジャパンで人材を活用しないといけないです。

 わが国は幕末から不平等条約に悩まされてきました。しかし、日米安全保障条約はわが国ないし極東の有事の際に米軍が平和を維持するのに対して、アメリカの有事において自衛隊の義務づけがない、わが国にとって有利な不平等条約、片務協定、片肺同盟です。日本列島の防共の砦、太平洋の防波堤としてのプレゼンスは薄くなりました。しかし、太平洋をこれからも世界でイチバン平和で豊饒の海にしていくためには、変わるときは変わらないといけません。つまり、何事も程度問題です。TPPに関しては、JA全農がハチマキをしめたのが運動論としていけなかったという指摘があります。そして、TPPに参加する政治家は、やはり政治とカネの問題がない、国民から安心して委託できる政治家ではないといけないでしょう。その点では、日本の伝統的な名家である、造り酒屋の息子である玄葉さんは適任者だと考えます。それにしても、ミッションスクール卒業生の外相が初めてとは驚きです。内田康哉外相が同志社で英語を学んだようですが、東京帝大卒です。日本が今までいかに人材の配置が下手な国だったか。それが政権交代で改善され、反動はあるかも知れませんが、2大政党間での政権交代を繰り返すことで、スピード感のある人材活用ができるようになるでしょう。

 2011年11月27日の大阪府知事選で松井一郎さん、大阪市長選で橋下徹(はしもと・とおる)さんが当選しました。ともに40歳代で、おととし末に「大阪維新の会」を結党した3人のメンバーだそうです。もう1人は大阪府議会議長だそうです。大阪市長は57歳ぐらいがこれまでの最年少だったそうなので、42歳の橋下さんは当然最年少市長。府知事と市長が40歳代コンビになったのは初めてでしょう。これは、インターネットの登場により、傑出したリーダーが自らの政治理念を「説得」し、構図を設定することで、既存の各種団体の総攻撃に勝ったものでしょう。日本では、バブル崩壊とテレビの影響などの社会化で、地方経済が停滞していますが、大阪経済は死んでいます。ここまで追い込まれなければ、橋下さんのような傑出したリーダシップが各種団体の猛攻に勝てなかったのでしょう。大阪都構想の統合検討本部(松井本部長、橋下副本部長)ができるそうですから、「国と地方の協議の場」のほかに、「国と維新の協議の場」を設けて、地方自治法改正案ではなくて、大阪都構想特別措置法案を民公自3党合意で、第45期衆議院に提出し、成立させるのが賢明でしょう。そして、各種団体の会合でスピーチすることが日常活動であり、小選挙区に勝つ方法だと勘違いしている民主党の1期生はどうにかならないものでしょうか。私には各種団体の会合でスピーチすると小選挙区に勝てるという論法がまったく理解できない。きょうの朝日新聞で、渡邉恒雄・読売新聞主筆も「1党の人数は280人〜300人が限界」と述べています。衆院を小選挙区比例代表連用制(比例80人削減)、参院を11ブロック大選挙区1票連記制にして定数42人削減すると、そのくらいが政権党としてもちょうどよくなります。何事も程度問題です。良い塩梅が繁栄につながります。きょうから会期末(12月9日金曜日)の前週のスタートです。すなわち仕上げる法案を仕分けなければいかません。メドがついている復興財源確保法案など第3次補正予算関連5法案、復興特区設置法案。そして、未提出の衆議院選挙区区割り画定審議会設置法改正案(1人1枠方式の廃止)までで限界でしょう。

 民主党本部が模様替えしました。



 ご覧のように、会見台の後ろに「ひとつひとつ、乗り越えていく。」という野田佳彦首相のポスターが張られるようになりました。

 

 今回の日米地位協定の運用の見直しもその一つです。

 ひとつひとつ、乗り越えていく。

asahi.com(朝日新聞社):地位協定の運用見直しを評価 沖縄知事、玄葉外相と会談 - 政治

玄葉光一郎外相は26日、沖縄県庁で仲井真弘多知事と会談した。玄葉外相は、在日米軍に勤務する民間米国人(米軍属)の公務中の犯罪で日本が裁判権を行使できるよう日米地位協定の運用を見直したことを説明。仲井真知事は「感謝する」と歓迎した。

 会談では、仲井真知事が「県民の中には地位協定の抜本的な改定という要求が強くある」と指摘。そのうえで、今回の運用見直しに「一歩一歩解決していただくのは大変ありがたい」と評価した。玄葉外相は「これからも事件事故、環境騒音の問題で全力を尽くしたい」と伝えた。

地位協定改定訴え 支援団体「米兵、軍属、日本で裁判を」 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

 今年1月に沖縄市で交通事故を起こし、男性(19)を死亡させた米軍属、ルーフェイス・ラムジー被告(24)が、事故から10カ月過ぎて在宅起訴された。息子を失った一人の母親の怒り、悲しみが世論、日米政府を動かした結果の起訴。支援者は「ほっとした」と一定の評価をしたものの、「抜本的な解決はされていない」と運用改善でなく日米地位協定の改定をあらためて求めた。
 起訴を受けて支援団体は25日午前、県庁で会見を開いた。男性の母親は「一応はほっとした。しかし公務中であろうが公務外の事件であろうが、日本国内での米兵、軍属の裁判は当然日本の裁判所で裁くよう、地位協定を変えていかなければならない」というコメントを池宮城紀夫弁護士を通して発表した。池宮城弁護士によると母親は日がたつにつれ、悲しみが深くなり夜眠れない日もあるという。
  男性の高校の同級生で、支援団体共同代表(21)は「起訴になったことは良かったが、これは本当は当たり前のこと。日本政府の動きが遅い。10カ月何をやっていたんだ」と怒りをぶつけた。
  支える会には過去に米軍絡みの事故で家族を失った人も。1950年ごろ、父親を米軍車両の事故で亡くした女性(75)=北谷町=は「復帰して40年たとうとしているのに、いまだにこんなことが起こる。この間、泣き寝入りしてきた人は多い。不平等な地位協定を改定してほしい」と訴えた。
  支援団体は地位協定改定を求める署名活動を展開。現在までに6万2千筆が集まっており、来月上旬ごろ国に届ける予定。団体事務局長は「主権国家として自国民を守る立場をしっかり持ってほしい」と話した。

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「ガソリンプール(ガソプー)」発言、笑い飛ばして否定 安住淳財務相 3次補正関連11法案成立へ

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 第3次補正予算関連11法案の成立が確実となりました。

 まず、2011年11月30日(水)の参院本会議で次の5法案が可決・成立しました。

 「復興財源確保法(復興債発行法)」(衆院財金委与党筆頭理事の寺田学さんら民自公修正)
 「所得税など国税の改正法(177通常国会の積み残し)」(同)
 「全国防災費の確保のための地方税の臨時特例法」(衆院総務委与党筆頭理事の稲見哲男さんら民自公修正)
 「改正地方税法(177通常国会の積み残し)」(同)
 「地方交付税交付金の総額の特例法」(全会一致)

 の5法です。

 これに先立ち、次の法案が11月29日の衆院本会議で可決し、参院に送られ、審議入りしています。

 「復興特区法案」(田嶋要さん、谷公一さんら民国自公たの5党修正)。

 そして、12月1日(木)の衆院本会議で次の5法案が可決し、参院に送られました。

 「津波防災地域づくり法案」
 「津波防災地域作り法案の関連法整備法案」
 「国民年金法の一部を改正する法案(年金の国庫負担分の消費増税の担保の明確化)」
 「被災者に対する国税などの軽減法案」
 「地方税法の一部を改正して被災者の負担の軽減法案」

 参院に送られた6法案は、参院でも過半数に達する見通しで今国会の当初会期中にすべて成立するのは確実。残る「復興庁設置法案」は修正協議中です。

 これにより、第3次補正予算の歳入の確保と執行に関する法案はすべて成立する見通しが立ちました。

 なお、衆院決算行政監視委員会は、1年半前の第174通常国会に提出されていた「平成21年度予算の予備費の使用調書」について承諾することを決めて、12月1日の本会議に報告し、承諾を得ました。民主党理事は、「本来なら昨年の今ごろしていなければならない案件。国会仕分けから与野党歩み寄りのムードができた」とつぶやいています。遅い!

 ◇

 29日の参院財政金融委員会は7時間4分間にわたり復興財源確保法案と国税改正法案を審議しました。この法案の採決は、この日の朝の理事会で、自民党らがスケジュールに応じました。自民党からは宮城選挙区選出の愛知治郎・筆頭理事が登場。第177通常国会では、通例衆院から特例公債法案・国税改正法案が送られてくる時期に、「3・11」。その後、法案が8月まで送られてこないというタイヘン珍しい体験をした参院議員です。どういう気持ちだったのか、一度うかがってみたいものです。頼れるアニキ・安住さんはその当時、民主党国対委員長として平日は国会で指揮、土日は地元で被災者に寄り添いました。

 愛知さんは「私たちは同じ被災地、宮城県の国会議員ですから、立場を越えて是々非々で協力したい」と述べると、安住大臣は「愛知先生のおじいさま(愛知揆一元建設大臣)は全県的に貢献されたし、お父様(愛知和男・元環境庁長官)には私が当選後お世話になった」と持ち上げました。

 愛知さんは「とはいえ、議論をするのが仕事ですから、いくつか確認したい」として「3月19日に国対委員長だった安住さんが次のように言っています(という情報があります」としました。

 ガソリンを運んでもスタンドがつぶれていて、貯蔵できるところがない。学校のプールに溜めたらどうだ。

 これについて、頼れるアニキ・安住大蔵大臣(財務大臣に改称)は次のように答弁しました。

 「それはまったく根も葉もない話です。テレビでも一切発言していませんし、記者会見でも。これは週刊誌でもおもしろおかしく書いていたんですけど、私記者の懇談もオフレコもなにもやっていますけど、一切そういう発言はしていません。ですからまったくのガセでして、事実と違います。だいたい既発油性のものがどうなるかぐらい子供でも分かる話ですから、そんなこと言うわけがありません。私は毎週、地元に帰っていましたから、プールの水はトイレに使ったりして十分必要です。寒いからちょうど凍ったりするということですね。そういうわけありません」

 と豪快に笑い飛ばしながら、完全に否定しました。

 このガセネタから、安住さんは「ガソリンプール」「ガソプー安住」などと俗称されていますが、これで収束するでしょう。

 7時間4分間で、笑い飛ばしたのはこの場面だけでした。豪快な笑いにアニキの頼もしさを感じました。マニフェストとか、政策とか、そういうのでなくて、今の世の大蔵大臣にふさわしい人だと感じました。

 
[写真]竹谷とし子さん、参院財政金融委員会、2011年11月29日、参議院インターネット審議中継から。

 この後、公認会計士で、昨夏参院議員になった竹谷とし子(たけや・としこ)さん=公明党=から実に興味深い指摘があり、安住さんもしっかり答弁しました。

 竹谷さんは公認会計士として複式簿記の世界で生きてきて、この1年間単式簿記の世界に浸ったことになります。

 国・自治体とも、予算には「繰越明許費」(くりこしめいきょひ)があります。繰越明許費とは、「歳出予算の経費のうち、その性質上または予算成立後の事由に基づき、年度内に支出(歳出)を終わらない見込みのものは、予算の定めるところにより、翌年度に繰り越して使用できる経費」のことです。(『体系 都財政用語事典』)。予算書のなかに、繰越明許はちゃんと書いてあります。とくに事業・購入金額の大きい国土交通省や防衛省は、繰越明許を活用して、大型の公共財を複数年度で整備しています。

 竹谷さんは次のように質問しました。

 「繰越明許は1年間繰り越せることとなっています。3次補正の成立は11月ですから、今年度はあと4ヶ月間です。1年間繰り越せるとしても最低1年4ヶ月間で予算を執行することが前提となります。しかし、(被災自治体の)復興計画の現状を考えると、来年度末までにとても執行できるとは思えません。例えば津波被害を受けた自治体の高台移転を考えると、移転先の検討、津波被害を受けた土地の買い上げがなされるかどうか分かりませんが、新しいまちづくりとの関係など複雑な利害の絡む合意形成が待っています。例えば、(石巻港など)8漁港の復旧には4年間かかる。それなのに予算が1年3ヶ月で終わるとするなら、ホントウに必要でない事業に(今年度第3次補正)予算が使われる可能性があります。この復興の期間と予算の執行の関係はどうなりますか?」

 これに対して、安住さんは

 「繰越明許費は5兆円を盛り込んでいて、来年度に発注してどれだけ工事が進むかを考えると、私は(5兆円を平成24年度執行分として)積んでおかないといけないと考えます」と答弁しました。

 「えっと繰り越せるということですか・・・?」

 「今の繰越は1年間です。来年の4月から」

 「具体的にどういう事業に充てるのですか?」

 「ですので、繰越明許ではなく、基金にすれば(そのまた)翌年にも繰り越せるので、一つの方法かと思います」と答弁しました。

 このような複式簿記・発生主義会計にない、単式簿記特有の「繰越金」、「基金」といったものについて素朴な疑問をぶつけた竹谷さんのセンスをずっと持ち続けていただきたいです。東京都庁のように国の予算システムを複式簿記にするには30年はかかるでしょう。このような質問は同じく、昨夏、公認会計士から初当選した自民党の若林健太さんもしています。

 そして、安住さんは、竹谷さんに次のように答えました。

 「私も国会議員を15年間やってきて、野党でしたけど、この間、一般会計の透明化、国会のチェックはだいぶ進んできたと思います。ただ、基金など複数年度にわたる予算の執行に関しては、まだ国会のチェックは十分でないと思います。ぜひ(竹谷)議員にもご協力いただきたい」

 安住さん、胆力と情だけの財務大臣ではないようです。

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防衛相の一川保夫氏は問責提出前に自ら辞任すべきだ

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[写真]出先機関の沖縄防衛局長(更迭)の不適切発言を謝罪する一川保夫防衛相、2011年12月2日夜、沖縄県庁、琉球新報のホームページから。

 出先機関の沖縄防衛局長が、普天間飛行場の移転先の環境アセスメント評価書の提出時期をめぐり、「犯す前に犯すとは言わない」との趣旨の不適切発言をし更迭。さらに参・東日本大震災復興特別委員会の中で、1995年の沖縄海軍・海兵隊兵士合計3人による少女集団暴行事件について、「詳しく知らない」と答弁した一川保夫・防衛相が2011年12月2日夜、沖縄県庁で仲井眞弘太知事に謝罪しました。しかし、面会は8分間で謝罪しました。

 一方、自民党と公明党は9日までの会期末に参議院に一川保夫防衛相問責決議案を提出する構え。これには日本共産党、「たちあがれ日本・新党改革」、社民党・護憲連合が賛成する方針です。態度が不明な、みんなの党、国民新党、あるいは無所属の糸数慶子議員(沖縄県選出)らが賛成または退席した場合、可決する公算が高くなりました。仮に可決されると、参議院出身の大臣に対する初めての問責決議となります。2013年夏までは必ず続く衆参ねじれ国会で、民主党政権にしろ、自民党政権にしろ、国会の先行きが不透明になります。また、米連邦議会では、10月からスタートするはずの予算の審議がずれ込んでいますが、上院が沖縄海兵隊員のグアム移転費用を削除する予算を可決しました。下院では移転費用は認められており、年末にかけて両院協議会になりますが、不透明な要素が増えています。

 こういった諸情勢を考えると、沖縄の信を失った一川保夫防衛相は自ら辞任を申し出るべきです。

 なお、少し早い話ですが、後任の防衛大臣には複数のアイディアがあるでしょう。アメリカとのパイプがある元防衛政務官の衆院議員で総理補佐官の長島昭久さん、同じく元副大臣の参院議員・榛葉賀津也(しんば・かずや)さん、前防衛相の北澤俊美さんの再登板、防衛副大臣でキャリアの長い参院議員の小川勝也さん、おなじく副大臣で衆院の渡辺周さんの昇格など。しかし、当ブログとしては参議院外交防衛委員長の福山哲郎さん(京都選挙区、当選3回、2016年改選、松下政経塾11期生)が適任ではないかと考えています。総理の野田佳彦さん(政経塾1期生)、外相の玄葉光一郎さん(政経塾8期生)、前原誠司・民主党政調会長(同)の後輩になり連携がとりやすい。福山さんは衆院選に出馬したこともありますが、参院初当選時は、権力志向の強い政経塾員なのに参院議員という異色の存在でした。最近は増えました。政経塾員は同士の仲が悪いことが目立ちますが、山さんはそういう噂は聞きません。そして何より、福山さんはバブル期の大和証券サラリーマンとして、営業成績で全国トップになったことがあるそうです。信無くば立たず。沖縄に何度も脚を運んで、例え罵声を浴びても、徐々に徐々に信頼を得るには最適任なのでは。外務副大臣から官房副長官に昇格した後は「背中に氷柱が立った気分」を感じながら、震災後の原子力発電所対応でアメリカと水面下での折衝を担当するなど英語も上手いので、アメリカとの交渉も期待できます。

【2011年12月2日(金)衆院本会議】

 ギチョー!!でおなじみの議事進行係の太田和美さんが欠席し、前の議事進行係の小宮山泰子さんが代理を務める異例のできごとがありました。

 太田和美さんは被災地の福島2区(郡山市など)選出の衆院議員。ちょうど半年前の6月2日の衆院本会議ではあろうことか、野党(自民党・公明党・たちあがれ)提出の菅内閣不信任案に対して、党議に造反して退席するという暴挙がありました。民主党は太田さんを党員資格停止処分にしました。それから半年。公明新聞は2011年11月27日付の日曜版に、「まっと ふくしま」さんの次のようなマンガを載せました。部分的に紹介します。






[画像]公明新聞2011年11月27日付のまっと ふくしま さんのマンガ(部分的に紹介)。

 公明党は6月1日、自民党をけしかける格好で、内閣不信任案を提出しました。この晩に小沢一郎グループ71人がホテルに集まり気勢をあげる集会がありました。太田さんもおそらく参加したと思われます。公明新聞のマンガでは、被災地復興について「国の方針がハッキリしないからなかなか前に進めない」として、第3次補正予算の成立(11月21日)について「遅すぎるんだよ!被災地はもう冬だ 雪も降ってきて事業が進めにくくなるぞ」としました。そして「なぜ遅れているのか」との吹き出しに、“裸の王様”の格好をした菅直人首相(当時)と、総理にひれ伏す家臣の財務相(当時)の野田首相を登場させ、「6月の不信任騒動の時は辞めると言っちゃったけどすぐには辞めないよ〜 そうだろドジョウな野田ちゃん」。そのうえで、民主党政権は「遅い!鈍い!心がない!」と批判しました。

 ちなみに、公明新聞は今月が部数拡大月刊のようです。公明新聞は一般誌が載せない、衆参委員会の細かい審議内容が翌日には分かるので重宝です。通信社電を受けた政経・国際・社会・スポーツ記事もありますし、テレビ・ラジオ欄もあります。毎月の価格も千円札2枚でお釣りが来るので、興味がある方は、地元の公明党議員や支持者などに問い合わせてみてください。

 それはさておき、このマンガを読むと、小沢グループ71人は、ただ単にベテラン揃いの公明党のトラップに引っかかっただけということが分かります。当初は小沢ガールズと呼ばれていた田中美絵子さん(石川2区比例)は、「野党が出した不信任案に乗るのはおかしい」と距離を置いていた、と田中さんと仲が良く、私も信頼しているジャーナリストから聞きました。太田議員は被災地出身でありながら復興を遅らせたことになります。国替え前の選挙区である千葉7区(松戸市など)では「キャバクラ嬢」「高卒」との批判に対して「負け組ゼロへ」のメッセージで、東大卒の経産官僚に勝ちましたが、太田議員の行動は「キャバ嬢」「高卒」の人への裏切りでもあります。太田議員の国会事務所によると、12月2日の本会議欠席理由は「体調不良のため」だそうですが、私は天の戒めだと推測しています。

 ところで、11月30日の政治資金収支報告書で陸山会から第22回参院選の小沢グループ候補者に資金が流れていたと報じられています。この中で、落選した三橋真記さんは現在小沢議員の政策担当秘書になっています。彼女は厚労官僚出身ですので、国家I種試験合格者として資格条件をクリアしているものと思われます。では、他の小沢ガールズはどうかというと、ある女性元候補者は落選後に、会社を設立して経営者をしながら、県連出身衆院議員の国会事務所でお茶を出す仕事などをしていました。しかし、体調を崩されて、会社の方もやっていないようです。私は「小沢一郎に近づいた人間は遅かれ早かれ必ず不幸になる」という信念を持っていますが、同情の念を禁じ得ません。ところで、なぜ、脱小沢を訴える私がそういうことを知っているかというと、親小沢とされる人たちも本音では「小沢卒業」がしたい。でもしがらみでできない。そういうことで、あくまでも民主党のため、国のため、仲良くさせてもらっています。

【赤化する小沢一郎グループ】

 TPPでは一川大臣と同じく自由党(小沢一郎党首)出身の山田正彦前農相が反対論のリーダーになりました。そして消費増税準備法案に関して、小沢グループが署名を集めるという動きが出ています。言うまでもなく、政党助成法では1月1日が新党結成の基準日で、いくつかある政党要件のうち、新党の場合は、国会議員が5人在籍していればの時点で政党と認められます。これがその背景です。政治には理念や政策が必要です。ところが、小沢さんという方はダイナミックで剛腕な政治家ですから、失われた20年の時間軸を遡る(さかのぼる)能力があるようです。以前にも紹介しましたが、次の画像をご覧下さい。

 
[画像]1990年の第39回衆院選の自民党ポスター(上)と日本共産党ポスター(下)、「目で見る議会制度百年史」(衆議院編)から。

 これは第39回衆院選の自民党のポスターと日本共産党のポスターです。土井たか子党首が前年の参院選で宇野宗佑自民党を歴史的大敗に追い込み、参議院を与党過半数割れに追い込んで臨んだ1990年2月18日投票の選挙です。海部俊樹総裁・小沢一郎幹事長の自民党は、世襲を減らして候補者を厳選し、岡田克也さん、河村建夫さん、石原伸晃さん(追加公認)らの新人を当選させました。一方の社会党も、仙谷由人さん、輿石東さんらが初当選し、公明党では山口那津男さん、井上義久さんらが初当選するという「ベルリンの壁」崩壊により、豊富な人材が政界に飛び込んだ選挙です。

 この選挙で小沢一郎さんが作らせたポスターは「世界のあこがれ、自由な日本。夢ある明日へ、確かな歩み。自民党」でした。竹下登蔵相によるプラザ合意と湾岸戦争やPKOでの国際貢献によるバブル期の日本を象徴するようなポスターです。

 それに対して日本共産党のポスターは「消費税、コメ輸入自由化では ぼくらの未来はまもれない。」でした。

 21年が過ぎ、小沢さんの主張が日本共産党に似てきている、いわば「小沢グループの赤化(共産化)」が起きているのはなぜでしょう。とくにこの1990年以降は「失われた20年」と呼ばれます。日本人が失ったのは経済的な付加価値です。その中で、小沢さんが経団連から貧しい人にシフトを変えて、消費税増税に反対し、TPPでの農業自由化に反対する。

 1990年1月にはフジテレビが「ちびまる子ちゃん」の放送を開始しています。大阪では「国際花と緑の博覧会」の工事が進んでいました。衆議院は1月24日に解散されましたが、世界の関心は、1月31日ソ連(現ロシア)のモスクワに「マクドナルド」が開店し、2月11日に南アフリカで、27年ぶりにネルソン・マンデラ受刑者(後に大統領)が釈放されたことに向いていたようです。

 このように世界は激しく変化しました。それでも「小沢さんの剛腕」に任せれば、「世界のあこがれ自由な日本」だった頃に戻れるのではないか、時間を遡ってほしいという憧憬(しょうけい)がなおも根強いようです。しかし、時間は遡れません。豊かさとは何か。心が問われています。

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前防衛局長発言「県民の心傷つけた」 防衛相、知事に謝罪 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

不適切発言 一川防衛相、知事に謝罪2011年12月2日 Tweet

前沖縄防衛局長の不適切発言を仲井真弘多知事に謝罪する一川保夫防衛相=2日、県庁

 田中聡前沖縄防衛局長の不適切発言をめぐり、2日夕に来県した一川保夫防衛相が県庁内で仲井真弘多知事と会談。不適切発言について「県民の心を深く傷つけたことは間違いない。知事や県民におわびしたい」と謝罪した。これに対し仲井真知事は「内容が県民の尊厳、気持ちをかなり傷つけている。私も怒りを覚える。極めて、極めて遺憾だ」と厳しく批判。県民の信頼回復に全力を挙げるよう求めた。
 一川防衛相は1日の参院東日本大震災特別委員会で、1995年の少女乱暴事件について「正確な中身は詳細に知らない」と答弁したことについて「国会の場で詳細に説明する事案ではないという思いの中での発言となり、おわびしたい」と釈明。「痛ましい事件であることは十分承知している」と述べた。
 一川防衛相は、信頼回復に向け「県民の思いを受け止め、負担軽減が着実に進行できるよう全力投球したい」と説明。「沖縄県内のいろんな懸案事項に一生懸命努めたい」と述べた。
 会談後、仲井真知事は記者団に「県民の信頼回復が厳しいし、時間がかかる。そう簡単には県民の怒りは解消しない」と述べた。【琉球新報電子版】

[国会議事録より引用はじめ]

第177回国会 本会議 第25号
平成二十三年六月二日(木曜日)
    ―――――――――――――
  平成二十三年六月二日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 菅内閣不信任決議案(谷垣禎一君外十名提出)
    午後一時三十二分開議
○議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○小宮山泰子君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 谷垣禎一君外十名提出、菅内閣不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
○議長(横路孝弘君) 小宮山泰子さんの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 菅内閣不信任決議案(谷垣禎一君外十名提出)
○議長(横路孝弘君) 菅内閣不信任決議案を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。大島理森君。
    ―――――――――――――
 菅内閣不信任決議案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔大島理森君登壇〕
○大島理森君 私は、自由民主党・無所属の会、公明党、たちあがれ日本の三党を代表して、ただいま議題となりました菅内閣不信任決議案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。(拍手)
  本院は、菅内閣を信任せず。
   右決議する。
    〔拍手〕

(略)

○議長(横路孝弘君) 討論の通告があります。順次これを許します。山井和則君。

(略)

○議長(横路孝弘君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○議長(横路孝弘君) 採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行います。
 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○議長(横路孝弘君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。
 投票を計算させます。
    〔参事投票を計算〕
○議長(横路孝弘君) 投票の結果を事務総長から報告させます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 四百四十五
  可とする者(白票)       百五十二
  否とする者(青票)      二百九十三
○議長(横路孝弘君) 右の結果、菅内閣不信任決議案は否決されました。(拍手)
    ―――――――――――――
谷垣禎一君外十名提出菅内閣不信任決議案を可とする議員の氏名
松木けんこう君   横粂  勝仁君   あべ  俊子君   安倍  晋三君
逢沢  一郎君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君   麻生  太郎君
甘利   明君   井上  信治君   伊東  良孝君   伊吹  文明君
石田  真敏君   石破   茂君   石原  伸晃君   稲田  朋美君
今津   寛君   今村  雅弘君   岩屋   毅君   江渡  聡徳君
江藤   拓君   遠藤  利明君   小里  泰弘君   小野寺 五典君
小渕  優子君   大島  理森君   大野  功統君   加藤  勝信君
加藤  紘一君   梶山  弘志君   金子  一義君   金子  恭之君
金田  勝年君   鴨下  一郎君   川崎  二郎君   河井  克行君
河村  建夫君   木村  太郎君   岸田  文雄君   北村  茂男君
北村  誠吾君   小池 百合子君   小泉 進次郎君   古賀   誠君
後藤田 正純君   河野  太郎君   高村  正彦君   近藤 三津枝君
佐田 玄一郎君   佐藤   勉君   齋藤   健君   坂本  哲志君
塩崎  恭久君   塩谷   立君   柴山  昌彦君   下村  博文君
新藤  義孝君   菅   義偉君   菅原  一秀君   田中  和徳君
田野瀬良太郎君   田村  憲久君   平   将明君   高市  早苗君
高木   毅君   竹下   亘君   竹本  直一君   武田  良太君
武部   勤君   橘  慶一郎君   棚橋  泰文君   谷   公一君
谷垣  禎一君   谷川  弥一君   谷畑   孝君   徳田   毅君
中川  秀直君   中谷   元君   中村 喜四郎君   永岡  桂子君
長島  忠美君   長勢  甚遠君   二階  俊博君   丹羽  秀樹君
西野 あきら君   西村  康稔君   額賀 福志郎君   野田  聖子君
野田   毅君   馳    浩君   浜田  靖一君   林   幹雄君
平井 たくや君   平沢  勝栄君   福井   照君   福田  康夫君
古川  禎久君   古屋  圭司君   保利  耕輔君   細田  博之君
町村  信孝君   松浪  健太君   松野  博一君   松本   純君
三ッ矢 憲生君   宮腰  光寛君   村上 誠一郎君   村田  吉隆君
望月  義夫君   茂木  敏充君   森   英介君   森   喜朗君
森山   裕君   柳本  卓治君   山口  俊一君   山本  公一君
山本  幸三君   山本   拓君   山本  有二君   吉野  正芳君
赤松  正雄君   井上  義久君   池坊  保子君   石井  啓一君
石田  祝稔君   稲津   久君   漆原  良夫君   江田  康幸君
遠藤  乙彦君   大口  善徳君   佐藤  茂樹君   斉藤  鉄夫君
坂口   力君   高木 美智代君   高木  陽介君   竹内   譲君
遠山  清彦君   富田  茂之君   西   博義君   東   順治君
古屋  範子君   浅尾 慶一郎君   江田  憲司君   柿澤  未途君
山内  康一君   渡辺  喜美君   園田  博之君   平沼  赳夫君
城内   実君   衛藤 征士郎君   中島  正純君   鳩山  邦夫君
否とする議員の氏名
安住   淳君   阿久津 幸彦君   阿知波 吉信君   相原  史乃君
青木   愛君   赤松  広隆君   浅野  貴博君   東   祥三君
網屋  信介君   荒井   聰君   五十嵐 文彦君   井戸 まさえ君
池田  元久君   石井   章君   石井 登志郎君   石毛 えい子君
石関  貴史君   石田  勝之君   石田  三示君   石津  政雄君
石森  久嗣君   石山  敬貴君   泉   健太君   磯谷 香代子君
市村 浩一郎君   糸川  正晃君   稲富  修二君   稲見  哲男君
今井  雅人君   打越 あかし君   生方  幸夫君   江端  貴子君
枝野  幸男君   小川  淳也君   小沢  鋭仁君   小野塚 勝俊君
小原   舞君   緒方 林太郎君   大泉 ひろこ君   大串  博志君
大島   敦君   大谷   啓君   大谷  信盛君   大西  健介君
大西  孝典君   大畠  章宏君   大山  昌宏君   逢坂  誠二君
岡田  克也君   岡田  康裕君   岡本  英子君   岡本  充功君
奥田   建君   奥野 総一郎君   奥村  展三君   加藤   学君
加藤  公一君   鹿野  道彦君   海江田 万里君   柿沼  正明君
梶原  康弘君   勝又 恒一郎君   金森   正君   神山  洋介君
川内  博史君   川口   浩君   川口   博君   川越  孝洋君
川端  達夫君   川村 秀三郎君   菅   直人君   木村たけつか君
吉良  州司君   城井   崇君   黄川田  徹君   菊田 真紀子君
菊池長右ェ門君   岸本  周平君   北神  圭朗君   京野  公子君
工藤  仁美君   櫛渕  万里君   楠田  大蔵君   沓掛  哲男君
熊谷  貞俊君   熊田  篤嗣君   黒岩  宇洋君   桑原   功君
玄葉 光一郎君   小泉  俊明君   小平  忠正君   小林  興起君
小林  正枝君   小宮山 泰子君   小宮山 洋子君   小室  寿明君
小山  展弘君   古賀  一成君   後藤   斎君   後藤  祐一君
郡   和子君   近藤  和也君   近藤  昭一君   近藤  洋介君
佐々木 隆博君   斉木  武志君   斉藤   進君   齋藤   勁君
斎藤やすのり君   坂口  岳洋君   阪口  直人君   笹木  竜三君
階    猛君   篠原   孝君   柴橋  正直君   下条  みつ君
城島  光力君   白石  洋一君   神風  英男君   首藤  信彦君
末松  義規君   杉本 かずみ君   菅川   洋君   鈴木  克昌君
仙谷  由人君   園田  康博君   空本  誠喜君   田島  一成君
田嶋   要君   田名部 匡代君   田中けいしゅう君   田中 美絵子君
田村  謙治君   平   智之君   高井  崇志君   高井  美穂君
高木  義明君   高野   守君   高橋  昭一君   高橋  英行君
高松  和夫君   高邑   勉君   高山  智司君   滝    実君
竹田  光明君   武正  公一君   橘   秀徳君   玉木  朝子君
玉木 雄一郎君   玉城 デニー君   玉置  公良君   樽床  伸二君
中後   淳君   津川  祥吾君   津島  恭一君   津村  啓介君
辻    惠君   辻元  清美君   筒井  信隆君   手塚  仁雄君
寺田   学君   道休 誠一郎君   富岡  芳忠君   豊田 潤多郎君
中井   洽君   中川   治君   中川  正春君   中島  政希君
中津川 博郷君   中塚  一宏君   中根  康浩君   中野  寛成君
中野   譲君   中野渡 詔子君   中林 美恵子君   中屋  大介君
中山  義活君   仲野  博子君   永江  孝子君   長尾   敬君
長島  昭久君   長島  一由君   長妻   昭君   長安   豊君
仁木  博文君   西村 智奈美君   野木   実君   野田  国義君
野田  佳彦君   羽田   孜君   萩原   仁君   橋本  清仁君
橋本  博明君   橋本   勉君   畑   浩治君   鉢呂  吉雄君
初鹿  明博君   鳩山 由紀夫君   花咲  宏基君   浜本   宏君
早川 久美子君   原口  一博君   伴野   豊君   樋口  俊一君
樋高   剛君   平岡  秀夫君   平野  博文君   平山  泰朗君
福嶋 健一郎君   福島  伸享君   福田  昭夫君   福田 衣里子君
藤井  裕久君   藤田  一枝君   藤田  大助君   藤田  憲彦君
藤村   修君   古川  元久君   古本 伸一郎君   細川  律夫君
細野  豪志君   本多  平直君   馬淵  澄夫君   前原  誠司君
牧   義夫君   牧野  聖修君   松岡  広隆君   松崎  公昭君
松崎  哲久君   松野  頼久君   松原   仁君   松宮   勲君
松本  大輔君   松本  剛明君   松本   龍君   三日月 大造君
三谷  光男君   三村  和也君   三井  辨雄君   水野  智彦君
皆吉  稲生君   宮崎  岳志君   宮島  大典君   向山  好一君
村井  宗明君   村上  史好君   村越  祐民君   室井  秀子君
本村 賢太郎君   森岡 洋一郎君   森本  和義君   森本  哲生君
森山  浩行君   矢崎  公二君   谷田川  元君   柳田  和己君
山尾 志桜里君   山岡  賢次君   山岡  達丸君   山口  和之君
山口   壯君   山崎  摩耶君   山崎   誠君   山田  正彦君
山田  良司君   山井  和則君   山花  郁夫君   山本  剛正君
湯原  俊二君   柚木  道義君   与謝野  馨君   横光  克彦君
横山  北斗君   吉川  政重君   吉田   泉君   吉田 おさむ君
吉田  公一君   吉田  統彦君   笠   浩史君   和嶋  未希君
和田  隆志君   若井  康彦君   若泉  征三君   鷲尾 英一郎君
渡辺 浩一郎君   渡辺   周君   渡辺  義彦君   渡部  恒三君
亀井  静香君   下地  幹郎君   田中  康夫君   松下  忠洋君
土肥  隆一君
     ――――◇―――――
○議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十五分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       内閣総理大臣  菅  直人君
       総務大臣    片山 善博君
       法務大臣    江田 五月君
       外務大臣    松本 剛明君
       財務大臣    野田 佳彦君
       文部科学大臣  高木 義明君
       厚生労働大臣  細川 律夫君
       農林水産大臣  鹿野 道彦君
       経済産業大臣  海江田万里君
       国土交通大臣  大畠 章宏君
       環境大臣    松本  龍君
       防衛大臣    北澤 俊美君
       国務大臣    枝野 幸男君
       国務大臣    玄葉光一郎君
       国務大臣    自見庄三郎君
       国務大臣    中野 寛成君
       国務大臣    与謝野 馨君
       国務大臣    蓮   舫君

[引用おわり]

大震災イヤー国会いよいよ最終週 289日間できっちり年の納めを

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 東日本大震災の復旧・復興に明け暮れた2011年(平成23年)の国会も今週が最終週となりました。第179回国会の会期末12月9日(金)で今年通算289日目となります。

 「震災国会」(横路孝弘・衆院議長のあいさつ)となった第177通常国会は220日間、野田佳彦新首相が所信表明した第178臨時国会が18日間、そして第3次補正と復興債・復興特区などが成立した第179臨時国会が51日間となります。

 第177通常国会の4月以降、民主党・自民党・公明党の3党協議のしくみができました。

 修正協議が仕上がっていて審議を待っているのが、

 第174国会閣法60号の「労働者派遣法改正案」です。

 現在、修正協議が進んでいるのが、

 第176国会閣法1〜3号の「日本郵政改革関連法案」
 第177国会閣法74号〜80号の「国家公務員給与引き下げ・人事院廃止関連法案」
 第179国会閣法1号「復興庁設置法案」

 などです。

 私にはこれらが日本未来にとって、どうしても必要な法律(案)とは思えないのです。延長してまで成立させることはない、という意味です。

 ただ、こういうのは走り続けている人たちは気付かないのですが、例えば国家公務員給与引き下げ関連法案は人事院を廃止するという内容も盛り込まれており7・8%引き下げという劇薬を断行するならば、マニフェストに入れて総選挙後の特別国会でやらないと断行できないでしょう。

 郵政関連3法案は、郵便局と郵便事業を本体に統合し、ゆうちょとかんぽの事務を一緒にできるようにし政府の持ち株比率を「100%」から「3分の1」に引き下げるものです。だから、郵政民営化のプロセスを進める法案ですが、これは第44回総選挙の民意である郵政民営プロセスを逆行させる法案だと勘違いしている有権者が多いです。勘違いしている有権者が多いのは政治家の責任でもあり、ていねいに「説得」する時間が必要です。

 復興庁に関しては他府省への勧告権限と出先機関をもつ省をつくるというもので、私に言わせれば、昔の総務庁程度のつまらない官庁にすぎない。地区においては他省を乗り越えるスーパー官庁、いわば沖縄開発庁方式でつくらないといけないでしょう。復興庁設置法が成立しないと、東北が復興しないということはありません。

 自民党幹事長の石原伸晃さんはいわゆる3点セット(復興債、復興特区、復興庁)は自民党(と公明党の)発案だから、国益に資するために、それが出来上がるまでは政府に協力すると言っています。郵政改革関連3法案が成立する国民新党は存在意義を失います。

 なので、これら各法案は、第180通常国会で修正法案を審議・採決すればいいのではないでしょうか。第4次補正が出ますので、それと当初予算審議の間にわずかに大臣の体が空きます。この時間と場所を活用する。朝9時から衆参予算委員会があるのなら、朝8時から委員会をやればいいだけの話です。予算が通過するときに本会議が必ず開かれますから、そこに上程すればいいでしょう。そうでないと、後半国会は解散含みになります。民自公の実務者はしっかりと委員会の開催日程まで責任を持ってほしい。

 一方、平成21年度決算(案)と平成22年度決算(案)については、これがあるうちは解散に臨めないと考えたい。ですから、これは年末年始に閉会中審査をして仕上げるべきです。衆院決算行政監視委員会も、参院決算委員会も突貫工事です。全般審査の後の省別審査には財務大臣の同席はいりませんから、財務大臣には予算の組み上げと税制改正に没頭してもらって、大臣を呼ぶ。

 震災によるスピードアップとインターネット審議中継による可視化で、衆参、与野党とも特定の議員に質問の機会も実務者としての苦労も集中する「正念場」となっています。議員の疲労感も大きい。官僚の疲労感も大きい。とはいえ、走り続けていく中で見えなくなる物もあるようです。衆・決算行監委で、「政権交代直後は民主党政府が自民党政権の決算を仕分けていたから良いが、今は民主党政府が民主党政府が組んだ予算を仕分けていておかしい」と指摘された蓮舫・行政刷新相はホンキで驚いたようです。これは分かりそうなもので、走り続けている人は見えなくなるものです。震災国会で、法案の修正協議で何もできなかった議員は、当選回数に関係なくいっぱいいます。そういう人も含めて、年末年始は地元を回る時間も必要ですし、その中で見えてくる物もある。

 1975年には、三木武夫内閣が国会を296日間開きました。しかしこれは波乱の予兆でした。1975年末召集の第77回通常国会は、「ロッキード事件で前後47日間におよび審議の空白と予算成立の5月へのずれ込み」で「国会史上極めて異例な常会であった」(議会制度百年史)と振り返られています。そして、三木内閣は現行憲法下で唯一、解散権を行使できずに任期満了による第34回衆院選を施行しました。結果、過半数を失いました。やはりダラダラやるのははよくありません。同じ理由で、4次補正をやるからという理由で、第180通常国会をあまりにも早い時期に召集させるのも得策ではありません。参院の問題があるとは言え、衆院では議席占有率63%の大与党なのですから、あわてずゆっくりと泰然自若で取り組むべきです。

 12月9日(金)でしっかりきっちり、年の納めをしてほしいと思います。有権者がどう判断するかは別ですが、衆参も、与野党も、2011年震災国会は「終わり良ければすべて良し」ということにしないといけません。

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自民党本部が衆議院事務局の土地を不法かつ無償で占有 47年間

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【衆院予算委員会 「政治とカネ」集中審議 2011年12月5日(月)】

 第171通常国会(麻生内閣、追い込まれ解散)で、野党・民主党の鳩山由紀夫幹事長が施政方針演説に対する代表質問でNHK入り本会議で暴露した内容を事前に用意していた登記簿でご紹介したエントリー「◎「自民党本部は国有地、土地を返せ」と鳩山幹事長 登記簿も公開します!」は政権交代に向けて多くの反響をいただきました。

 きょうの衆院予算委員会で民主党の村越祐民さんが新しい事実を暴露しました。私は自民党本部の底地はすべて「大蔵省」(財務省理財局)だと思っていたのですが、一部分は衆議院事務局の土地だったことが分かりました。これは1964年の東京オリンピックから47年間使用していましたが、鬼塚誠・衆議院事務総長は参考人として「使用許可は出していない」と答弁しました。また財務省の田中一穂・理財局長は「この土地は普通財産ではなく行政財産だ」と答弁しました。

 これによると、池田勇人総裁(首相)の下、前尾繁三郎幹事長ないしは三木武夫幹事長の時代から、自民党が不法かつ無償で土地を占有してきたことになります。政権党時代は、衆議院の委員長が多かったので、委員長車(運転手は衆議院職員)がとまる場所が必要だったとの弁明も、自民党から出ています。

 村越さんは、独自の試算として16億円程度の過去の賃料を国庫に払ったうえで、土地を国庫に返すべきだとしました。「かつて栄華強勢を誇った政党の矜持を示すべきだ」と述べました。村越さんは自民党を「占有屋まがい」と批判しました。

 財務大臣の安住淳さんは「自民党にも問題がありますが、この問題を放置してきたとしたら、衆議院にも問題がある。(議員による)議院運営委員会だけでなく、事務方に行政財産を扱う資格があるのか」と、衆議院事務局職員を叱責しました。

 ところで、衆議院事務局は「国会前庭」と「憲政記念館」という別筆の土地を管理していますが、両方に同じ看板を出しています。「国会前庭・憲政記念館」という同じ看板です。先日、私は憲政記念館の「大正デモクラシー展」に向かったとき、ずいぶん道に迷ってしまいました。このように、衆議院事務局はちゃんと看板を出している土地も含めて、土地管理のだらしなさが目立ちます。

 「憲政記念館」は東京都千代田区永田町1丁目1番地
 「国会前庭」は 東京都千代田区永田町1丁目2番地

という別筆の土地のはずです。そこに「国会前庭・憲政記念館」という同じ看板を出していて、あまりにもずさんです。


[写真]「憲政記念館利用案内・国会前庭利用案内」と書かれた看板(筆者撮影)。これは永田町1丁目2番地。しかし、憲政記念館は実際には永田町1丁目1番地にあり、同じ看板が立っている。衆議院事務局の土地管理のずさんさがうかがえる。

 政権交代によるドブさらいで、また新しいヘドロ(情報)が出てきました。細川・羽田内閣の1年間を除いて54年間の自民党一党独裁政治を許した多くの有権者はけっして目を背けてはいけません。その代償がどれだけ大きかったか。そして、民主党国会対策委員会はきょうの村越質問の事実関係を今国会召集前には把握し、「来週辺りから大騒ぎになる」(国対幹部)と大喜びしたのに、あまり大騒ぎにならないのはなぜか。胸に手をあてて考えてみるべきです。小沢問題の放置がどれだけ大やけどになったか。情報を出す時期も下手なんですよ。自民党、衆議院事務局だけでなく民主党も大いに反省すべきです。村越さんは最初から小沢批判をしていましたから、いいです。しかし村越さんを批判したり、馬鹿にしたりしていた人たちは解散を控えた今、どんな気持ちなのでしょうか。それが政権交代ある政治の厳しさなんですよ。だから、衆議院民主党から、松沢成文さん、上田清司さん、北橋健治さん、河村たかしさん、といわゆる優秀な順に首長に転出していったのです。彼らがいて、一見「KY」な発言をしてくれたら、どれだけ与党が楽になったか。自民党長期政権の後ろ半分はハマコーのおかげです。ハマコーすらいない民主党。村越さん、これからも頑張ってください。見て見ぬふりをするか、闘うか。この2年半、小沢問題で、誰がどのとき、どういう行動をとったか、私は覚えておくことにします。

 二大政党の正念場を迎えています。しっかりと国民の声を聞き、組織の足腰を鍛える。民主党に限れば、もっと日本国憲法と国家行政組織法と衆議院と参議院両院の各会派議席数を読んで、勉強する。この冬を乗り越えられるかどうか。政権交代ある二大政党デモクラシーの正念場です。
 
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[訃報]冬柴鉄三さん、享年75。ガソリン国会(第169通常国会)の国土交通大臣。 

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[画像]ガソリン国会(第169通常国会)の国土交通大臣として、野党・民主党と死闘を繰り広げた冬柴鉄三さん、参議院インターネット審議中継からキャプチャ・トリミング。

 元新進党国会対策副委員長で、公明党幹事長、国土交通大臣を務めた冬柴鉄三(冬柴鐵三)さんが亡くなりました。享年75。

 心からご冥福を申しあげます。

 冬柴さんは揮発油税・軽油引取税の暫定税率の租税特別措置時限立法の失効によるガソリン・軽油の1ヶ月間の値下げ、道路特会でのタクシー券やミュージカルへの歳出、道路特定財源の一般財源化で、野党・民主党が猛攻撃をかけ、政権交代に大きく前進した伝説の第169通常国会の国土交通大臣でした。

 1986年の衆参ダブルの第38回総選挙で初当選して、小選挙区移行後も連続当選7回。新進党では国対副委員長や兵庫県連幹事長を務めました。2009年の第45回衆院選では、新党日本代表で参院議員だった田中康夫さんが刺客として兵庫8区に乗り込み、落選。その後も公明党常任顧問を務めていました。

 「新進党」は公募です。ファクスとハガキで募集しました。私は「新・新党結党準備委員会」(小沢一郎実行委員長)で、学生ボランティア(新生党学生塾員)として、新生党、日本新党、民社党、公明党などの秘書や職員と一緒に、日本新党本部内の会議室で集計作業をしていました。羽田孜さん、市川雄一さん、米沢隆さんらが視察に訪れたときにテレビに映ったので驚いた同級生も多かったようです。

 日本新党本部の松野頼久職員の仕切りがよく、「新・新党」への国民の期待も強く、タイヘン和気藹々としていました。とはいえ、やはり、公明党の秘書の方はどんな方なのかなあ、という気があったのですが、件のテレビ取材のときには、自党の書記長である市川さんを見て、「あっ」という感じで緊張していました。それは他党でも同じでしょう。やはり変わらないんだなと。そして、若くして亡くなった久保哲司・公明党衆院議員がこのチームに詰めていて、大阪市職員時代の武勇伝をざっくばらんに話してくれたりして、リラックスして、作業ができました。ファックス用紙は、各国会議員などの事務所などが地元で配っているのが主流でした。その中で、冬柴さんは党本部作成のファックス用紙に自分の姿を刷り込んでいました。たしか文面は「冬柴鉄三は国会で頑張っています!新しい党の名前、尼崎のみなさんが決めて下さい!」というようなもので、街頭演説する冬柴さんの姿が白黒で(ファックスですから)刷り込まれていたように記憶しています。応募用紙の束を五十音順にしていく作業で、それを見つけた久保さんの秘書が「あっ先生、冬柴さんこんなのつくってますよ!」と言っていたのを思い出します。公明党議員はみな支持母体の創価学会に乗っかって選挙をしているんだと思いきや、議員毎にやり方が違うので、選挙の強さには濃淡があるようでした。

 「新進党」はたしか7人ほどの応募があったと記憶しています。パシフィコ横浜の新進党結党大会で表彰されたのは、兵庫県の「土肥(どひ)」さんという主婦の方でした。しかし、翌々年の阪神・淡路大震災で自宅が倒壊してしまったそうです。

 冬柴さんは兵庫8区(尼崎市)選出の「代議士」として、国交大臣として重みある答弁をしたことがあります。

 2007年10月31日(第168臨時国会)の衆院国土交通委員会で民主党(当時)の石川知裕さんの質問に答え、「緊急地震速報をやるということについての利益は、私は非常に大きいと思います。それはやはり、私も阪神・淡路大震災を経験しましたけれども、六千四百三十四人の方が亡くなったんです。その九割までが、先ほども話がありましたけれども、わずか十五、六分の間に亡くなっているんですよ」「いろいろデメリットはあるとは思いますけれども」「だからといって、これをやめる、これを先延ばしする」「私はその方が恐ろしいというふうに思います」と答弁し、法案に賛成するよう促しました。これに対して、石川さんはとっさに「いや、別に私も反対をしているわけではありません」と答えました。石川さんの選挙区である北海道11区も海と山があり、自然環境が厳しいところです。石川さんは「冬柴大臣はいつも質問には真摯に答えてくれていた。新進党時代は、東順治さんらとともに、安全保障問題に詳しかったのが記憶に残っている」としました。5日夜当ブログの取材に答えました。

 このとき、冬柴さんは地元を良く回っている政治家だと感じました。ただ、ガソリン国会では、答弁中に、秘書官がメモを投げ入れる場面がありました。秘書官に入れ知恵される大臣はしばしば。でも後ろからメモが飛んできたのはこのときだけでした。ガソリン国会の民主党の猛攻はすごかったとはいえ、適材適所という意味では、どうだったのでしょうか。心労があったのかもしれません。

 とはいえ、冬柴さんがホントウに地元を良く回っていることを私が最後に感じたのは、2009年8月の選挙でした。このとき、私は梅田から阪急に乗って、「曽根」という駅に向かっていました。ところが乗り換えを間違えて、「塚口」という駅に行ってしまいました。あわてて先方に電話して、「先生、こちらから曽根までタクシーで行きます」「いやそこからじゃタクシー代5000円はかかるよ」と言われて、電車で引き返すことにしました。わずか十数分でしたが、塚口の駅から周りをみました。そして、ここは大阪府ではなく、話題の兵庫8区だということに気づきました。初めて見る尼崎市。駅前の下町。そして、後でグーグル・アースで復習すると、日本を代表する大企業の工場と、その工場で働いている人も住んでいるであろう庶民の街の渾然一体。まさに日本です。そして、テレビでは初めてみる選挙戦中の冬柴さんは自転車で駆け回っていました。その姿には恐れ入りました。しかし、冬柴さんは僅差で落選しました。大物落選の可能性が出てくると、初めてその選挙区が取り上げられるというテレビジャーナリズム。これはやむを得ない。しかし、一抹の空虚さを感じました。

 それはまた私にとっては新進党を失ったときに似た空虚さでした。

 なお偏見かも知れませんが、私が知っている限り、地方議員、国会議員問わず、公明党議員は比較的お若い年齢で亡くなる傾向があります。大衆とともに。チーム政党なので、中間管理職的な心労、ストレスが強いのだと推測します。冬柴さんも75歳。自転車から降りて、ゆっくりとお休み頂きたいと思います。

公明元幹事長、冬柴鉄三氏死去…自公政権で活躍 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 元国土交通相で、公明党元幹事長の冬柴鉄三(ふゆしば・てつぞう)氏が5日、兵庫県尼崎市内の病院で急性肺炎のため死去した。75歳だった。

  自宅は同市潮江1の5の1の2610。告別式の日取りは未定。
 
 冬柴氏は1960年に関西大を卒業後、弁護士を開業。86年衆院選で初当選した。93年8月、非自民連立の細川内閣で自治政務次官を務め、旧新進党の結成・解党を経て、98年1月に旧公明党系衆院議員が結成した新党平和で幹事長に就任。98年11月に再結成された公明党でも幹事長を務め、神崎武法代表(当時)と二人三脚で公明党の与党入りを実現するなど党運営に尽力し、自公政権では中心的な役割を果たした。2006年9月、安倍内閣の国交相として初入閣した。

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[訃報]安住重彦さん逝く。津波の屋根の救出から9ヶ月 元旧牡鹿町長 安住淳財務大臣の父

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 朝日新聞と読売新聞によると、2011年12月2日、元旧牡鹿町長の安住重彦さんが心不全でなくなったそうです。享年85。財務大臣で宮城5区選出衆院議員の安住淳さんのお父さんです。

 葬儀は25日午前11時から、喪主は長男・聡さん。

 心からご冥福をお祈りいたします。

 安住重彦さんは旧盛岡工業専門学校を卒業し、牡鹿町立鮎川小学校長、石巻市立湊中学校校長を経て、牡鹿町長(現在を石巻市に合併)を3期務めました。1996年に息子の淳さんが衆院議員になりましたが、入れ替わるように1999年に落選し、引退。2001年春の叙勲で、勲五等双光旭日章。

 安住財務大臣の早稲田大学雄弁会の後輩である民主党議員によると、重彦さん夫妻は、3月11日の東日本大震災(東北太平洋沖地震)による津波のため、自宅の屋根に避難。屋根の山側に避難していたところ、屋根の海側まで海水が来たもののそこで止まったそうです。その後、晩を(複数?)明かし、自衛隊のヘリコプターで救出されたそうです。このため、当時与党国対委員長だった安住さんは4日間ほど、ご両親の安否が分かりませんでした。その後は、元町長ということもあり、石巻市役所の避難所、災害対策本部で過ごし、その後、親戚の家に身を寄せている、と安住さんは発言していました。また安住大臣から見ておばさんに当たる方は亡くなったそうです。奇跡の生還から9ヶ月。年の瀬。復旧・復興の胎動を見届けて、ホッとされたのなら、いいのですが。そうなんだと思います。

 安住淳さんは4月26日の質問で、「私の地域は本当に漁業の盛んなところで、世界三大漁場、多くの方々が戦前戦後、営々となりわいを立ててきました。私の家も含めてそうでございますが、あの津波は多分、何十万人ものそういう方々の、戦後築き上げてきた人的財産そして資源、すべてを一瞬にして奪ってしまったということは私は言えると思うんです」と述べています。

 その後、財務大臣として10月27日の参院財政金融委員会での答弁では「もう津波を受けた(海の)目の前は嫌だから上に行こうと当初は思ったんです、私も。ですから、私の実家も海から五メーター、まあ十メーターぐらい離れたところにあるんですけれども、そこからもう嫌だからもっと山の上で住もうと思っていたんですが、減災の思想というか、やはり逃げられないと言ったら変ですけれども」と、やはり海で生きていこうと考えたとしています。

 安住さんは野党時代、大震災前の2008年6月27日付のブログの「政治の出番」と題したエントリーで、「私の地元の石巻地方は、江戸の昔から船乗りが日本一多い所である。私も小中学校の同級生や前後の学年の何人かが亡くなっているし、毎年今回のような遭難で多くの犠牲者が出ている。それだけ海で生きるということは厳しい環境であるのだ」としています。



[画像]父・安住重彦さんの逝去後にもかかわらず、毅然と答弁する12月5日の安住淳・財務大臣、衆院予算委集中審議、衆議院インターネット審議中継から。

 上の画像のように、安住財務大臣は毅然と答弁しています。しかし、今気付きましたが黒いネクタイをしていました。

 少子高齢化、大震災、原子力災害と今ほど生命(いのち)の大切さを、人々がかみしめている時代はないと考えます。まさに「政治の出番」です。そして、誰もが安心して歳を積み重ねるためには、年金をはじめとした、国家、自治体によるセーフティーネットが必要です。そのためには、理論上は絶対的に、消費税は上げなければならないのです。が、これは理論だけでなく、ていねいなていねいな説得が必要です。大蔵大臣・財務大臣を務めた藤井裕久さんは5日放送のBS11「インサイドアウト」で、「安住財務大臣はいろいろな会議で、『私は次の選挙で落ちていいんだ。だけどやる』と言っている」ことを明かして、褒めました。

 gooブログのアクセス解析で、先週末から「安住重彦」さんという検索キーワードで当ブログを訪れる方が多くなっていました。存在感のある方だったんでしょう。この親にして、この子あり。安住淳・財務大臣の最初の予算となった平成23年度第3次補正予算(復興など12・5兆円)の成立(11月21日)を見届けて、町長も多くの仲間が待つ所へ向かわれました。

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早稲田大学鵬志会主催イベントに野田佳彦首相が登場「世界でイチバン地球の息づかいを感じられる国へ」

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[写真]早稲田大学鵬志会主催の「早稲田政治祭」の第7部特別講演に登場した野田佳彦首相、2011年12月7日午後8時過ぎ、東京・新宿区の早大21号館「大隈記念講堂」、筆者撮影。

 「世界で1番地球の息づかいを感じることのできる国になったときに、国際貢献のみならず、ビジネスのチャンスも次々生まれてくるだろうと。私は思います。こういうフロンティアを開発することによって、みなさんがきょうよりもあしたが良くなってくるだろう。そう思える国をつくるのが私の夢でございます。福島に生まれて良かった、宮城に生まれて良かった、仙台に生まれて良かった、岩手に生まれて良かった、このニッポンに生まれて良かった。そういうチャンスのある国だ。そういう国をつくっていきたいと思います。(野田佳彦、Yoshihiko Noda, 1957-)

 歴史に残るであろう名演説でした。

 大隈講堂に野田佳彦さんがかえってきました。早稲田大学鵬志会(会長・重村智計国際教養学部教授、本山景太郎幹事長=法学部3年=)主催の「早稲田政治祭」の特別講演です。母校ということで首相はTPP(環太平洋パートナーシップ条約)で「アジア太平洋地域で、(日本の)国を開くだけでなく、相手の国々も開かせていく」と踏み込んだ本音の演説をしました。

 首相の野田佳彦さんは、「みなさんこんばんは。昭和55年、1980年、早稲田大学政経学部政治学科をタイヘン優秀な成績で・・・」と切り出すと、早くも“ドジョウ節”の気配を感じた聴衆(学生、一般客)から笑いが起きました。総理は面食らいながらも、「卒業した・・・友達がいます、野田佳彦と申します」と続けると前を上回る大爆笑。実はこの早稲田政治祭の第6部では、みんなの党の江口克彦さんらが「松下政経塾でドジョウ(野田首相)の面接官だったが7番バッターでとったのに、ところが4番バッターになっちゃった」と笑わせ、場が温まっていた巡り合わせもありました。

 「早稲田大学出身の内閣総理大臣、先輩たちがいらっしゃいますが、だいたい竹下先生も、海部先生も、小渕先生も、早稲田大学雄弁会出身の方です。ワタクシ、まったく無縁でした。早稲田のころは無口でシャイで、当時の同級生はまさか私が政治家になるとは思っていなかっただろうと思います」。そのうえで、学生時代の唯一の現場での政治活動は、河野洋平さんらの新党「新自由クラブ」の選挙を手伝ったのが唯一の経験だとしました。

 「以来三十数年、一貫して変わらないのはつねに非自民であるということであります。さきほど、田原総一朗さんが司会をされていましたが、初めてサンデープロジェクトに出たとき、田原さんに言われました。『君は自民党みたいな顔しているね』。どんな顔か分かりません。分かりませんけれど、私はどちらかというと、父親も自衛官ですし、保守主義の立場でしたけれども、自民党に非ずの政党をつくって政権交代をしたい。それが私の一貫した思いでございました」と語りました。

 「第95代内閣総理大臣を拝命しました。身の引き締まる思いです。そういう風に見えませんか?」また笑いが起きました。そして「私がやれなければならないのは、東日本大震災の復旧・復興と原子力発電所事故の収束です」「福島の再生なくして日本の再生なし。早く冷温停止状態をつくることであります。圧力容器の底の温度を冷温化、安定化させる。その管理が安定的になること、これを冷温停止状態といいます、これを年内に実現させていただきたいと思います」。その言葉をかみしめるように、聴衆がしっかりと野田総理の言葉を聞き取ろうとしていくのを肌で感じました。

 ◇

 野田さんは早稲田大学卒業生としては7人目の首相。そのうち、石橋湛山首相から5人連続で、早大雄弁会出身者でした。が、福田康夫首相、野田首相とここ2代連続で「非雄弁会系」の首相が続いています。現役首相の早大訪問は、福田康夫さんが2007年10月22日、大学主催の創立125周年記念式典への出席。2008年5月8日夕に中国国家主席の胡錦涛さんが日本の福原愛選手と中国の王楠選手と卓球をした際にかけつけて以来。学生サークル主催イベントへの参加は極めて異例。1996年に新進党公認で野田さんが落選した後から、鵬志会会員で野田さんとの交流があったようです。私は1997年3月に早大および鵬志会を卒業したので、そのことは知りませんでした。

 早大3大政治サークルと言われる雄弁会、鵬志会、政友会は会員数などで鼎立状態が続いていました。弁論術や弁論大会参加・主催が中心の「雄弁会」、選挙や各種既成団体の講演会・セミナーのお手伝いなど現地現場主義の「鵬志会」、テーマ別の学習会を持つ「政友会」。それぞれの個性があります。本山幹事長ら平成23年執行部は、任期満了の12月に来年の鵬志会25周年に向けた「弾み」をつけるというスケジュール感を設定し、共有。恒例行事の「講演会」を拡大し、午後12時半から午後8時半まで全7部制という空前絶後の「早稲田政治祭」を企画し、来年の大躍進を図る構え。



 第1部は「日本の閉塞感と政治」と題して、前横浜市長の中田宏さんの独演会。

 第2部は「外交」をテーマに、「天下動乱の年、2012年を読む〜東アジアの安全保障とTPP」と題して、中国大使館の湯本淵さん、アメリカ大使館のロバート・ルーク公使が登場。コーディネーターは元NHKワシントン支局長の手嶋龍一さん。

 第3部からはニコニコ動画の生放送が入りました。「官僚制」をテーマに、元経産省職員の古賀茂明さんと東京新聞の長谷川幸洋さんが「日本再生〜今こそ求められる真の改革」と題して対談しました。TPP、霞が関、マスコミなどの話題の後、古賀さんは「学生のみなさん、危機感を持って下さい。みなさんがこれからの人生で、守りに入るのは危険なギャンブルです」。長谷川さんは「みなさんのライバルは隣の席にいないんですよ。東南アジア、中国、インドにいるんです」。そして古賀さんが「そうです。そうしてみなさん稼いで、私たち(の世代)を養って下さい」と締めくくりと凛とした心地よい笑いがわきました。

 第4部は「業界研究『女性政治家』〜女性が政治家として生きるとは〜」をテーマに、民主党衆院議員の田中美絵子さん、自民党参院議員の片山さつきさん、と早大講師の村田信之さん(蓮舫・行政刷新担当大臣の夫)が出演。参院決算委員会の日程を終え、遅れて登場した片山さんは開口一番、「筑波大学附属高校時代にマーガレット・サッチャー英国保守党党首(影の首相)が教育の視察に訪れたんです。あんなに良いクルマをつくる国だからって。今の日本だったらどうですか?反対(に視察に行く)でしょう?」とし、その後サッチャー党首が首相になったので、公務員を志したと語りました。


 田中さんは「片山さんがおいでになったんで、ここでお礼をさせていただきます。私が写真週刊誌で叩かれていたときに、片山さんは『小沢ガールズで生き残れるのは、田中美絵子(ら3人)だけだ』って言ってくださって。ホントウに勇気づけられました。ありがとうございます!!」と意外な展開。片山さんが田中さんに「私たち女性議員が(男性議員が政治資金でキャバクラに行くように)ホストクラブに行って、政治資金で領収書を切れますか?」。田中さんは「女性の議員は自分で収支報告書を見る人が多いと思います。私も毎月、事務所の“仕分け”をしていて、きょうもコーヒー代が高すぎると指摘してきたところ」と応じました。そのうえで、片山さんは「女性議員は目立つ」のが得だとし、当選すればやりやすい面があると指摘。選挙に出やすい環境を整えるべきだという結論になると、村田さんも「その通りです」。最後に田中さんが「政治家になった以上、頂点を目指したい」と“総理をねらう女”を宣言すると、私もかなり面食らうほどの拍手喝采を浴びました。

 第5部は「政治とボランティア、NGOの可能性」で、元外務副大臣の武正公一さんと難民を助ける会特別顧問の吹浦忠正さん。きょうのゲストの中で、もっと鵬志会と長い縁のお二人。吹浦さんは「NGOと官の連携はもっと必要。政権交代して、民主党では、例えば国際平和構築なら誰に話したらいいか。分からないのが本音。自民党は族議員でダメになったが、必ずテーマ毎に話せる人がいた」と指摘。武正さんは「海外で日本語を学ぶ人は370万人。私が外務副大臣時代に取り組んだ一つのテーマ」と話しました。



 吹浦さんは繰り返し繰り返し、聴衆に対して、語学の鍛錬を願いました。

 第6部は「政治早慶戦!!〜学生が政治に対して思うこと〜」。慶応側はOBとしてみんなの党の江口克彦さん、現役学生代表の神村健太郎さん。司会の田原総一朗さんをはさんで、早大OB代表が自民党の丸山和也さん、現役学生代表は岡野宗俊さん。江口さんは「慶応はひと言で言うと『福澤諭吉』先生、この4文字ですべてを語れる。これが早稲田にはあるか?」、神村さんは「(同窓会組織である)三田会などつながりが強い」と指摘すると、丸山さんは「田舎者でも偉そうに過ごせる大学が早稲田」岡野さんが「総理大臣からホームレスまで居るのが早稲田」と応じて湧かせました。そのうえで、丸山さんが政界入り後、「政治家には思想、哲学がない。天下国家とか、国家国民というと笑われることもある。だからもう一度大学に行くなら、思想家が創立した慶応に行きたい」と語ると、江口さんは「早稲田には哲学がない。だからドジョウ(野田首相)はダメなんだ」。田原さんが「この後出てくるよ」と制するような身振りをすると、とっさに丸山さんが「江口さんは松下政経塾でドジョウの面接官だったんだよ」と話を向けました。このエントリーの冒頭でご紹介した「私は7番バッターでドジョウをとったんだ」という発言になりました。そのうえで「自民党も民主党も政権交代を想定していなかったと思う。民主党が政権交代にイチバン驚いているんじゃないか」と指摘。「この会場に政治家をめざす人もいるかと思います。どうか、“国家の経営者”になってください」と語りました。



 なお、岡野宗俊さんは「早稲田精神昂揚会」の元幹事だそうです。早稲田精神昂楊会は、早稲田大学の恒例イベント5月の「本庄−早稲田100キロハイク」の主催者です。長年、お互いのイベント開催時には、当日の応援要員を相互にお願いしています。そのような友好団体が「早慶戦支援会」など複数あり、きょうもご協力をいただいたのだろう、と思います。

 そして、第7部。いよいよ野田総理の特別講演です。

 

 野田さんは、私の知る限り、総理就任以来、もっともハッキリと、直接的な表現でメッセージを伝えました。

 「こうしてやらなければいけないことはたくさんあります。それをひとつひとつ解決し、乗り越えていくのが私の役割だと考えております」

 総理は、わが国の歴史においてもかなりシリアスなことを言っているんです。でも、それが親しみあり、時に笑いを誘って話せす。わが国の歴史にこういう宰相はいたでしょうか。現時点で私の頭の中に浮かびません。

 「加えて長年の宿題についてもこたえていかねばなりません。それは先般、TPPについての一つの方針を政治決定いたしました。それは、TPPの交渉参加に向けて、協議に入るという方針です。わが国は戦後、GATT(ガット)体制のもとで、自由貿易の恩恵を最大限に受けて経済大国になりました。これからもアジア太平洋地域において、国を開くだけでなくて、相手の国々も開かせていくことによって、その成長の糧を考えていかないといけない、と思っています。私は自由貿易、あるいは投資のルール作りに日本は主体的にかかわるべきだと思います」「例えばわが国が一生懸命に働いて開発した技術であるとか、ソフトであるとか。海賊版とか、模倣品という形で世界中に氾濫しています。この被害総額だけで、千数百億(円)です。マジメに開発をした我々の国がもっと儲けられるはずなのに、そういう模倣品や海賊版などで市場から追い出されている。そのためのルールを作ることが国益であります。アメリカやオーストラリア、ニュージーランド、あるいは今度交渉参加に入ろうというカナダとまだ二国間でFTAを結んでいません。これらの二国間との関係で、日本が払っている関税は2000億円です。そういう垣根(関税障壁)を低くしていることは国益ではないでしょうか。輸入だってそうです。突然相手国の都合によって、レアアース(希土類)が入ってこない、天然ガスが入ってこない、食べ物が入ってこない。そういうことは避けないといけません。輸入のルールをつくるべきです。相手国が恣意的に輸出を止めることができないように、輸出国と輸入国がきちんと事前協議する等々。ルールを作ることが私は国益だと思っています。そのための協議に入っていくということです」。

 この後、社会保障と税の一体改革(消費税)についても、具体的に例示しながら野田さんは説明しました。

 また、「欧州でおきていること」と日本国債の関係も演説しました。

 「これらの乗り越えなければならない課題の中で我々は何をしていくのか。私はこの早稲田に通っている頃は、そんなに豊かではないけれども、きょうよりはあしたは良くなるだろうという希望がありました。チャンスがある国だと思いました。でも、だけど今、残念なことにバブルが崩壊した後に生まれたみなさん。きょうお集まりの多くのみなさんがそうだと思います」。ここで野田演説の特徴である、声のトーンが太く、大きくなりました。「きょうよりあしたは良くなるだろう、と思えない状況がもうずっと続いてきている。きょうよりあしたは不安だと思う人が増えてきている」そしてまたトーンを下げ、淡々と
 「この流れを変えていきたいと思っております」。

 「そのために日本の持っている“フロンティア”を開発していこうという試みを始めました。どんなフロンティアがあるのか? 日本の国土面積は世界で60番目です。小さな国です。国土面積はちっちゃいけれど、例えば、海。排他的経済水域(EEZ)、日本が管理できる水域は、世界で6番目に広いんです。海は広さだけではありません。体積もあります。深さもいれると、日本の排他的水域、管理できる部分は、深さは世界で4番目です。5000メートル以上深いところ、これは日本が1番多いんです。フロンティアは多いんです。そこにメタンハイドレード等々、さまざまな鉱物資源が眠っている。それを開発をしていくということがもちろん大事だと思います。海にフロンティアがあります。そして、宇宙もそうです。立体的に見れば、宇宙もわが国のフロンティアです。ロケットを飛ばし、(人工)衛星を飛ばせるという国は、それほどありません。国際協力で(宇宙)飛行士も育ってまいりました。独自の射場(しゃじょう)、打ち上げる場所を持っている国もあんまりありません。日本は種子島もあります。

 『世界で1番地球の息づかいを感じることのできる国』になったときに、国際貢献のみならず、ビジネスのチャンスも次々生まれてくるだろうと。私は思います。こういうフロンティアを開発することによって、みなさんがきょうよりもあしたが良くなってくるだろう。そう思える国をつくるのが私の夢でございます。福島に生まれて良かった、宮城に生まれて良かった、仙台に生まれて良かった、岩手に生まれて良かった、このニッポンに生まれて良かった。そういうチャンスのある国だ。そういう国をつくっていきたいと思います」

 「そこで大事なことは、さきほども申しあげましたTPPも、社会保障そのほかも、基本的な姿勢というのは、現状のままで良いと思ったらこれらの危機を乗り越えることができない。課題解決もできないということです」「今が60点なら、フロンティアを開発し、勇気を持って国を開いていく。70点、80点、90点をめざしている国にならなければ、いずれ日本はお年寄りばかりの極東の片隅にポツンと位置する島国になりかねないと思っています。そんな国にしてはいけません。だから乗り越える山はいっぱいありますけれども、ひとつひとつ乗り越えて、今お示しした展望のもとにこの国をつくっていく覚悟でございます」

 ここで野田さんは一拍起きました。でも咳払い一つしません。

 「どうもドジョウのイメージばっかりが強いんですが。私の思いの一端を今お伝えさせて頂きました」

 「ぜひ、きょうお集まりの皆様、こういう形でお付き合いいただいたみなさんに御礼を申しあげて、ひと言私のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました」。

 ◇

 さて、私自身「鵬志会」って何?とよく聞かれますので、この機会に一つのエントリーの中にまとめさせていただきます。

 鵬志会の今年度メンバーは4月にも新聞に登場しています。次の記事です。

[新聞記事データベースから引用はじめ]

「私より人気ある首相に」 自虐的?早大生にエール
2011.04.27 産経大阪朝刊 5頁 総合5面 (全198字)  
 
 菅直人首相が26日、国会内を移動中に大学生約20人と会った際、「私よりも人気のある首相になって」とエールを送る一幕があった。野党や民主党内の一部から退陣要求を突きつけられる中、つい自虐的な言葉が出たようだ。

 学生は早稲田大学で政治関係のサークルに所属。

 引率者が「将来、政治を志すかもしれない若者です」と紹介すると、首相は「大学で勉強して、日本のためになる人になってください」と笑顔で激励した。

[引用終わり]

 せっかくの菅総理からのお言葉でしたが、鵬志会のOB・OGで、選挙に出るのは、おおよそ3割弱。フツーにサラリーマン、公務員になっている人も多いです。

 早大卒業の首相は次の7人で、5人が雄弁会出身、ここ2人が非雄弁会系になります。

〈雄弁会〉
石橋湛山首相 1956年就任。(自民党総裁)早稲田大学文学部東洋哲学科卒。東洋経済新報記者・社長。
竹下登首相  1987年就任。(自民党総裁)早稲田大学商学部卒。 青年団員、島根県議。
海部俊樹首相 1989年就任。(自民党総裁)中央大学から早稲田大学法学部に転入し、卒業。早稲田大学大学院法学研究科中退。河野金昇衆院議員秘書。
小渕恵三首相 1998年就任。(自民党総裁 早稲田大学文学部卒。早稲田大学大学院政治学研究科修了。世界放浪後、父の跡を継ぎ当選。
森喜朗首相  1999年就任。(自民党総裁)早稲田大学商学部卒。フジサンケイグループ日本工業新聞記者。

〈非雄弁会〉
福田康夫首相 2007年就任。(自民党総裁) 早稲田大学政治経済学部経済学科卒。丸善石油社員、福田赳夫首相政務秘書官。
野田佳彦首相 2011年就任。(民主党代表) 早稲田大学政治経済学部政治学科卒。松下政経塾1期生、千葉県議。

 石橋首相から森首相まで5人が雄弁会。そして、福田首相、野田首相が非雄弁会となります。

 鵬志会の創立は1987年。石橋首相以来31年ぶりの早大出身の竹下首相を祝おうということで集まった実行委員が発展的に解消する中で結成しました。現在は大学公認サークルに昇格しています。野田さんの卒業後となりますので、野田さんは鵬志会卒業生ではありません。ただ、鵬志会卒業生には、松下政経塾の門を数人が叩いており、野田さんが第41回衆院選に落選し、浪人していた頃から交流があったそうです。学生サークルですから、現役学生(1年生〜4年生)による単年度執行部による運営なので、組織としての付き合いがある団体、人との連続性に関しては、全体を把握している人はいません。例えば、早大生でない鵬志会員OBの地方議員がいますが、そのときの執行部がどういう意図で入会を許可したのかは、あまり同窓会に出て来ない年次というのは、やはりいますから、分からないことがあります。組織と特定の政党・政治家が長期間にわたってしがらみがあるということはありません。ぜひ誤解なきようお願いします。

 ちなみに読み方は「(○)ほうしかい」であって、「(×)オオシカイ」と発音する人がいますが、「(○)ほうしかい」です。

 では「鵬志会」とはどういう意味かとよく聞かれます。これは、創設者(初代幹事長)の和田有一朗さんが卒業した高校(兵庫県立神戸高校)の校章が「鵬(オオトリ)」だったというだけの理由です。それだけです。とくだん崇高な意味が込められているわけではありません。和田さんは県議会の当選3回生。そのくらい自分を前に出す性格だから、和田さんは選挙に強いです。彼は日常活動で朝立ち3時間、戸別訪問500軒をこなすことを習慣にしています。選挙区内全戸を毎年1周、任期中に4周することにしています。2007年の第16回統一地方選では、兵庫県議選で、当時42歳の和田さん=無所属=は神戸市垂水区選挙区で3万580票の大量得票で再選しました。ところが、姫路市選挙区で当時33歳で新人の竹内英明さん=民主党=が3万2580票を獲って全県トップに躍り出ました。彼も鵬志会OBで、総得票数ワンツーフィニッシュを達成しました。区割りの問題もありますが、6329票で当選した候補もいましたので、2人の集票力は抜きんでています。2011年も各々の選挙区でトップで再選しています。野田首相の弟さんの野田剛彦さんも船橋市議会でトップ当選しましたが、別の会派で5位当選した日色健人さんも鵬志会OBです。日色さんは今回のイベントには党派を越えて、後輩にメッセージを送っています。国政での政権交代直後の2009年11月の葛飾区議選では小林ひとし(小林等)さんが8501票で断然トップ当選し、最下位当選者は2552票でした。が、民主党の仲間から「とりすぎ」批判を浴びたことなどから、現在は無所属で活動しています。というわけで、「とにもかくにも選挙に強い鵬志会」という定評はかなり浸透しています。

 とはいえ、一般の就職をする学生の方が、割合は多く、やはり、まったく政治とは距離を置く人も多くいます。それもまた人生の夏である大学時代の一つの学びの卒業論文でしょう。

 鵬志会主催のイベントでの総理経験者の講演は、1995年秋の新進党結党直前の羽田孜前首相以来だと思いますが、小泉純一郎さんの講演もあったそうです。これはきょう、初めて知りました。

 「集まり参じて人は変われど、仰ぐは同じき理想の光」

 

 2011年12月7日。大隈講堂は歓喜に包まれ、同じ時間を共有しました。そして、12月8日の朝になるとそれぞれ自分の好きなことをする。それが早稲田というものです。就職後の辛い時期、土曜日の深夜に大隈講堂に来て、時計台を眺めて、しばらくしてまた帰宅した。私以外にも同じようなことをしていた友人も多いようです。総理にとって早稲田の杜がリラックスできる時間と場だったら良かったと思います。雨天の友がいない政治家に限って、好きな言葉は「雨天の友」というものです。野田さんは党派や政策を越えた仲間がいることを目で見ました。ひとつひとつ乗り越えていってほしい。野田さん、次はいつの日か、総辞職して次の内閣にひきついだ後に、またゆっくりとおいでください。

 ゴゾンジ陸上部の箱根駅伝の襷ほどではありませんが、25年間、伝統の襷が渡っていてうれしいというか、一人の日本国民として、ドンドン国を開いていって大丈夫だと。この子たちは素晴らしいし、会場にお集まりいただいた現役学生のみなさまも芯が通っている。だからゲストの皆さんが、全7部に分かれているにもかかわらず、異口同音に「国を開く」と言ったのでしょう。日本はつぶれないとの確信得たり。その思いを持てた、2011年12月7日、大隈講堂の夜でした。

[過去の新聞記事から引用はじめ]

[キャンパる]大楽人 早稲田大社会科学部3年・松尾宗一郎さん
1998.04.10 東京夕刊 11頁 総合 写図有 (全314字)  

 ◇全国学生交流会会長 早稲田大社会科学部3年・松尾宗一郎さん(20)

 若者、特に大学生の政治離れが言われるが、「政治家は、できる仕事の範囲が広い」と考え、入学と同時に同大の政治サークル「鵬志会」に入り、現在は副幹事長。◆学外でも、自民党の友好団体である「全国学生交流会」に所属し、今年3月、会長に就任した。元運輸大臣の亀井静香氏ら実力政治家を招いて講演会を開いたり、各種選挙で自民党候補の選挙を手伝うなどの活動を通じて、実際の政治の現場を体験してきた。◆政治離れについて、学生に呼びかける。「結局、これから長く税金を払っていくのは、若い僕たち。もっと、政治に口を出すべきだ。投票に行かないなんて、もったいない」【早稲田大・真田智弘】

毎日新聞社

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  政治家になるための7条件、早大生に説く 加藤自民幹事長が講演
1997.07.10 東京朝刊 5頁 (全437字)  

 ◆地元、健康、35歳以下、地域回り…

 自民党の加藤幹事長は九日、都内新宿区の早大構内で講演し、学生たちに政治家になるための「七つの条件」を説いた。

 加藤氏は、〈1〉立候補する地域の出身である〈2〉できればその地域でトップの進学校ではない高校を卒業している〈3〉しっかりした大学を出る〈4〉健康である〈5〉三十五歳以下で選挙活動をスタートする〈6〉五年から七年間必死に地域回りをする〈7〉人間関係を作れるある程度の能力がある−−の七つを示し、「この条件を満たせば、政治家志望者が少ない今なら政治家になれる」と述べた。ちなみに、かつて選挙に必要と言われた「地盤、看板、カバン」の“三ばん”については「もうはやらない」と退けたが“三ばん”持ちの二世議員、加藤氏の発言に説得力があったかどうか?

 この日の講演は、政治家志望の学生の多い、「早大鵬志会」の主催で開かれた。

 懇切丁寧なノウハウ伝授だったが、この政治不信の中で“青田買い”の成果が期待通りに上がるか否か不明だ。

読売新聞社
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[キャンパる]情報伝言板 早稲田大学ほか
1994.06.17 東京夕刊 9頁 総合 (全859字)  

 ◆早稲田大学鵬志会講演会「21世紀へ向けて−−激動する日本政治今後の展望」 22日14時40分、大隈大講堂(地下鉄東西線早稲田駅下車)で。講師は毎日新聞編集局顧問、岩見隆夫氏。無料。問い合わせは同会代表、三島圭介さん。(以下略)

毎日新聞社
 
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[票最前線]終盤の現場から(5)“選挙修業”の大学生(連載)
1992.07.23 読売東京朝刊 30頁 写有 (全980字)  
 
 ◆現場で知るむなしさ

 「早稲田大学鵬志会」。五年前、同大OBの竹下登氏が首相に就任した時、学生有志が実行委員会を作り、“凱旋(がいせん)講演”などを主催した。鵬志会は、その委員会を引き継いで発足した学生政治サークルだ。

 当然、入会者は政治家志望の学生たち。代議士らの講演会を年に何度か開くほか、議員事務所の手伝いや選挙運動のアルバイトなど、それぞれの“修業”に励む。

 ◆政策論議欠く現実 政治への志に冷水

 「選挙の渡り鳥、と呼ばれてます」。幹事長で理工学部三年の豊島成彦さん(22)が笑った。昨年の統一地方選では、滋賀県議、都知事、大田区議の各選挙戦のアルバイトに飛び回った。この参院選も、首都圏の自民党候補事務所で運動を手伝っている。

 激戦区・奈良に向かった二人の一年生は、初めての選挙体験に目を輝かせていた。会員五十人。うち女子学生八人を含む三十人が、ビラ配り、ウグイス嬢などに汗を流しながら、いま、終盤の戦場にいる。

 ひたすら頭を下げながらのビラ配り。「ちっとも、あいさつに来ないじゃないか」と顔役に脅されながらの地域回り。

 高度な政策論議とは、あまりにかけ離れた選挙の現場を見て、あこがれが失望に変わり、政治家への夢を捨てる学生も少なくない。政経学部三年で会の副幹事長を務める渡辺勝大さん(20)もその一人だ。

 ガランとした公会堂のホールに、候補予定者の熱弁だけが響いた。五月末、首都圏で開かれた自民党の参院選決起集会。整然と並んだ千脚のパイプいすは、三分の一しか埋まっていない。駆り出された聴衆の半数は居眠り状態だ。「君たち、前の方に座っててくれ」。いすに腰かけたとたん、ばかばかしさがこみあげた。「こんなことをしていて、何になるんだろう」

 今度の選挙戦ではアルバイトをせず、来年の国家公務員試験を目指して猛勉強を始めた。

 明治大政経学部の阪上順夫ゼミは先月、首都圏の大学生千五百四十人を対象に、政治意識に関するアンケートを行った(回答率六七%)。

 理想の政治家の必要条件として、「政策実行力」、次いで「選挙区だけでなく国のことを考えている」ことを挙げ、「現在の政治家に満足していますか」の問いには、九二%が「ノー」と答えた。

 今年二十歳を迎えた渡辺さんは、二十六日に初の一票を投じる。政治の現状に幻滅しながらも、希望は捨てていない。だから「棄権はしないつもり」だ。(おわり)

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07統一選 兵庫県議選開票結果=兵庫
2007.04.09 大阪朝刊 16頁 (全2,717字)  

 《開票結果》

 ◆東灘区 定3候5

当16,187井戸正枝 41民現〈2〉

当14,109高橋進吾 39無新〈1〉

当12,341加藤修  49民現〈3〉

 12,098北浜みどり46自新

 11,016古谷敏郎 56共新

           (選管確定)

 ◆灘区 定2候4

当15,050原亮介  63自現〈6〉

当11,979石井健一郎38民現〈2〉

  9,942井上力  57新社新

  7,910島田鎮郎 67共元〈1〉

           (選管確定)

 ◆中央区 定2候4

当12,492小池啓納 57民現〈2〉

当10,388原吉三  65自現〈5〉

  7,140渡辺和代 49共新

  4,232佐藤陽太 25無新

           (選管確定)

 ◆兵庫区 定2候3

当15,946松田一成 54公現〈2〉

当12,897立石幸雄 58自現〈7〉

 11,533井村弘子 60共元〈1〉

           (選管確定)

 ◆北区 定3候5

当21,744羽田野求 57公現〈5〉

当19,131梶谷忠修 69自現〈3〉

当19,019藤井訓博 58民現〈3〉

 11,489貫名ユウナ55共新

 10,212伊藤栄介 30無新

           (選管確定)

 ◆長田区 定2候3

当15,519渡部登志尋58公現〈3〉

当14,238加田裕之 36自現〈2〉

 10,837木下清子 58共新

           (選管確定)

 ◆須磨区 定3候4

当18,410大塚崇弘 40民新〈1〉

当16,589松本義宏 59公現〈4〉

当15,885葛西利延 66自現〈5〉

 14,167森田多希子51共元〈1〉

           (選管確定)

 ◆垂水区 定3候4

当30,580和田有一朗42無現〈2〉

当22,119黒田一美 52民現〈3〉

当15,267新原秀人 44自新〈1〉

 12,847今井正子 54共新

           (選管確定)

 ◆西区 定3候4

当24,881石井秀武 40民現〈2〉

当24,257石原修三 56自現〈4〉

当17,770杉尾良文 55民現〈5〉

 12,669金田峰生 41共元〈1〉

           (選管確定)

 ◆姫路市 定8候9

当32,508竹内英明 33民新〈1〉

当22,906大野由紀雄53公現〈4〉

当21,567岩谷英雄 62自現〈7〉

当19,937北条泰嗣 53公現〈2〉

当19,815水田宏  74自現〈6〉

当17,798杉本ちさと54共現〈2〉

当17,075北野実  47無新〈1〉

当16,726五島壮  63自現〈6〉

 14,562清元功章 78自現〈9〉

           (選管確定)

 ◆伊丹市 定3候4

当21,898武田丈蔵 74自現〈7〉

当17,138中田香子 66民現〈3〉

当16,953合田博一 57公現〈3〉

  7,742吉尾明美 50共新

           (選管確定)

 ◆尼崎市 定7候11

当24,497下地光次 52公新〈1〉

当23,536谷井勲  42公新〈1〉

当14,428丸尾牧  42無新〈1〉

当14,273稲村和美 34無現〈2〉

当13,886室井秀子 51無新〈1〉

当12,968吉本誠  37民現〈2〉

当12,793黒川治  47自現〈2〉

 12,470鈴木拓美 42共新

 10,921今西行  68社現〈4〉

 10,420宮田静則 64共現〈3〉

  8,945武田正昭 59自元〈1〉

           (選管確定)

 ◆西宮市 定7候8

当25,212野口裕  56公現〈5〉

当24,216越智一雄 65民現〈4〉

当20,154都築研二 60共現〈5〉

当18,072北川泰寿 37自現〈3〉

当16,362掛水須美枝61無現〈5〉

当13,637筒井信雄 41自現〈2〉

当11,770田中章博 70自現〈3〉

  5,881大平洋一郎65無新

           (選管確定)

 ◆芦屋市 定1候2

当14,091山田美智子60無新〈1〉

 13,224門信雄  57無現〈4〉

           (選管確定)

 ◆相生市 定1候3

当 6,582谷口隆司 56無現〈2〉

  6,504宮崎一一 59民新

  2,546中山英治 56無新

           (選管確定)

 ◆豊岡市 定2候3

当22,962日村豊彦 54無元〈6〉

当14,552小林喜文 63自現〈3〉

  9,494梅谷光太郎53民新

           (選管確定)

 ◆加古川市 定4候5

当24,197岸本一尚 46公新〈1〉

当23,852釜谷研造 75自現〈5〉

当20,891宮本博美 63民現〈4〉

当11,716星原幸代 64共新〈1〉

  9,038井上英之 36無現〈2〉

           (選管確定)

 ◆龍野市 定1候2

当 9,881山口信行 64無現〈5〉

  3,148金治法昭 63無新

           (選管確定)

 ◆西脇市 定1候2

当10,620東野敏弘 52無新〈1〉

  7,062山本章  66無現〈1〉

           (選管確定)

 ◆宝塚市 定3候6

当15,731伊藤順一 44民新〈1〉

当14,890森脇保仁 54自現〈2〉

当12,583練木恵子 44共現〈4〉

  9,571阪上真次 26無新

  8,427岡野多甫 53無元〈3〉

  7,704江見健太郎29無新

           (選管確定)

 ◆三木市 定1候3

当12,404仲田一彦 34無新〈1〉

 11,752米沢修二 58無新

  6,902東中香代 59民新

           (選管確定)

 ◆川西市・川辺郡 定3候4

当21,990岡康栄  71民現〈5〉

当17,415篠木和良 60無新〈1〉

当16,715加茂忍  55自現〈4〉

  4,460黒田靖敏 64無新

           (選管確定)

 ◆小野市 定1候2

当11,593藤原昭一 61無現〈4〉

  6,234藤本勝利 43無新

           (選管確定)

 ◆三田市 定2候3

当13,155芝野照久 55民現〈4〉

当11,133野間洋志 62無現〈2〉

  3,507本多康房 68無新

           (選管確定)

 ◆加西市 定1候2

当12,326小田毅  65無現〈3〉

  7,554大西啓之 68無新

           (選管確定)

 ◆篠山市 定1候3

当10,540小西隆紀 41無新〈1〉

  7,680田中悦造 59無新

  1,743梶川瓔一 63無新

           (選管確定)

 ◆丹波市 定1候2

当22,956石川憲幸 51自現〈3〉

  9,045芦田徳幸 53無新

           (選管確定)

 ◆朝来市 定1候2

当12,710藤本正昭 65無現〈2〉

  2,278清水隆夫 69無新

           (選管確定)

 ◆淡路市 定1候2

当15,474原哲明  56無新〈1〉

 11,095北浦義久 71無現〈3〉

           (選管確定)

 ◆宍粟市 定1候3

当 9,582高嶋利憲 54無新〈1〉

  7,316長田執  75無現〈4〉

  7,221春名哲夫 55無新

           (選管確定)

 ◆加東市 定1候2

当11,126藤本百男 53自新〈1〉

  8,355小林護  67無現〈2〉

           (選管確定)

 ◆多可郡 定1候2

当 9,224内藤兵衛 48自新〈1〉

  6,803藤本國明 51民現〈1〉

           (選管確定)

 ◆加古郡 定1候3

当10,337永富正彦 69無現〈3〉

  9,430大矢卓志 42無新

  3,902中嶋修市 59無新

           (選管確定)

 ◆飾磨郡 定1候3

当 6,379宗行恭義 62無新〈1〉

  3,781振角利允 67無新

  3,527東影昭  53無新

           (選管確定)

 ◆神崎郡 定1候2

当14,227上野英一 53無新〈1〉

 12,171前川清寿 65無現〈3〉

           (選管確定)

 ◆佐用郡 定1候2

当 7,949石堂則本 63無現〈3〉

  3,742広利一志 55無新

           (選管確定)

 ◆美方郡 定1候2

当16,002上田良介 56無新〈1〉

  6,670中村茂  76無現〈7〉

           (選管確定)

[引用おわり]

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 自民党元衆院議員の小里貞利さん、読売新聞九州版より拝借。

 衆参ねじれと震災で、衆参・与野党の枠を越えて、力のある国会議員による閣法修正成立、議員立法成立をなしとげた2011年(平成23年)の国会もいよいよ、残り1日となりました。

 ところが、力のある民主党1期生が、総理の野田佳彦さんを官邸に押しかけて、「郵政改革法案の成立を」「国家公務員給与引き下げ法案の成立を」などと直談判。さらには「このままでは不安だ」「来年の通常国会も、当初予算審議から始まるから法案審議はずっと後になってしまう」とツイッターやブログで発する事態になっています。

 たしかに、対抗馬が都市部でありながら踏みとどまった自民党若手有力株だったり、二世議員ながら政治改革で一貫し、さきがけ解党に伴い自民党に戻った筋を通した閣僚経験者の元職だったりしたら、不安になるのも当然。しっかりやっているのに、国会や党幹部がしっかりしてほしいという隔靴掻痒。

 でも、法案を良く読むと、これはおかしい。ムリヤリ会期を延長して通すような法案ではありません。例えば、国家公務員給与引き下げ関連法案の中には、人事院を廃止し、内閣府公務員庁をつくり、出先機関を新設するなどという内容が含まれています。だから、今国会で政府特別補佐人の江利川毅・人事院総裁(昭和45年厚生省)が「人勧不実施は憲法違反だ」なとど激しく現政府を批判する答弁をしていたのだと納得しました。江利川さんは内務官僚エリートコースを来た人らしい、とても律儀なジェントルマンだと、私は拝察していました。ただ、自らが内閣総務官として閣議の段取りをしていた時代に決まった橋本行革のあおりもあり、厚労省ではなく内閣府事務次官になったころには、記者会見などで「ちょっと江利川さん人相悪くなったよね」と記者仲間と賛同したものです。ところが、なんと本籍地の厚労省の事務次官に横滑りというおそらく太政官布告以来初めての運に恵まれると、またやさしい江利川さんに戻りました。認証官である人事院総裁となった際には、あいさつしたいと国会内幹事長室に当時の民主党幹事長、岡田克也さんを訪問。あいさつもそこそこに、封筒から資料を出して総裁自らご説明を始めようとすると、「ちょっと私、(外相を辞めて)幹事長になってから、細かい政策を受け付けないので、お引き取り願った」と岡田さんは記者会見で明かしています。これは以下にも江利川さんらしい。「直勝内閣」と呼ばれていますが、財務官僚だけでなく、内務官僚がいなければ、政府は回りません。この時期から7・8%引き下げたところで、削減できる歳出はさほど大きくない。むしろ、国家公務員の士気が下がるほうが問題です。例えば、内閣府の旧経済企画庁部局や、経産省の官僚の士気が下がらなければ、逆に経世済民、経済感覚は大丈夫なのかと逆に心配になります。超デフレ政策を立案しかねません。ですから、人事院を残して、今年度人勧を実施した上で、国家公務員給与を引き下げる法案を通常国会に出し直す。そして、マニフェストに入れて、民意という力で特別国会で審議するのが得策でしょう。郵政株はとても素晴らしい埋蔵金(税外収入)ですが、すぐにオカネになるものでもないし、郵政民営化一時凍結法(自見法)を改正すれば、株式は売れます。国民新党の参議院での3議席は重要です。だからこそ、誠実な話し合いのもと、来年にかけてじっくりやるべきでしょう。

 今年の国会では、与野党から、すでに亡くなったり、引退した政治家の名前が何度も上がりました。橋本龍太郎さん。これは「橋本行革」と「普天間返還合意」で。山中貞則さん。これは「消費税新設の税制改正」とやはり「沖縄問題」で。そして、小里貞利さん。こちらは「阪神・淡路大震災の復旧・復興担当大臣」として。小里さんはご健在ですから、自民党などは勉強会で小里さんから生の声を聞くことができました。

 【まあ、そうあわてなさんな】

 小里さんは橋本行革ができたときの担当大臣・総務庁長官でもありました。これは忘れている人も多いと思います。当初は副総理格の大物として外相経験もあった武藤嘉文さんが総務庁長官を務めました。ただ、内閣改造の際に、橋本首相は「先日、自民党の行政改革本部に出席したときに、政府と党で認識のズレを感じた」という趣旨のことを言って、佐藤孝行・党行革本部長と武藤さんの入れ替えます。私は橋本首相のホントウの理由は違うと思います。おそらく佐藤さんの派閥の中曽根康弘会長が押し込んだのではないかと今でも推測しています。そのロッキード事件の黒色高官(よく「灰色高官」と言われますが、佐藤さんは有罪なので「黒色高官」というべきです)だった佐藤大臣は1週間で辞任しました。そして、そのあと、阪神・淡路大震災からわずか2年半で、小里さんがまたしてもリリーフとして大臣になりました。

 この行革会議が最終段階のとき、総理番記者が一問一答で合計10回ほど総理に質問をしました。橋本さんも答えてくれました。ちなみにこの記者はとても優秀かつ尊敬されていて、お父さんも別の会社で後に社長を務めた人です。この記者は今も現役の政治記者です。執拗に攻める。橋本行革の最終段階ですが、最後の最後の抵抗とのせめぎ合い。総理と記者もせめぎ合い。このとき、総理の真後ろに居た小里長官は、会議室の扉の近くで、とつぜん後ろからこの記者の肩を叩きました。そして、ひと言。

 「まあ、そうあわてなさんな」

 極度の緊張感の深夜の首相官邸。総理と小里大臣が会議室の中に消えた後、廊下にいる番記者は爆笑。電話連絡先のキャップもみんな緊張がほぐれた爆笑だったようです。橋本首相と番記者とのぶら下がり一問一答の攻防は今でも語りぐさですが、後にも先にも、「首相」「記者」の後に、「小里総務庁長官」と第3者が登場したのは、このときのやりとりだけのようです。

 まあ、そうあわてなさんな。小里さんの衆院議員初当選は49歳です。それでも震災対策担当大臣、労働大臣、北海道開発庁長官、沖縄開発庁長官、総務庁長官のほか、自民党総務会長を務めました。そして、ことしの震災国会で何度も名前が出て、議事録に残り、引退後も後輩たちに呼ばれる。そういった小里貞利さんが、震災という修羅場で官僚の要請を一手に引き受けられた。そのすべてが詰まっているのが、まあ、そうあわてなさんな。ではないか。組織にはこういう人が必要だ。だから閣議決定から14年経った今も、わずかな手直し(公取など)だけで、橋本行革が残り、国会でその名前があがるのでしょう。

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第179臨時会が閉幕 

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[画像]国会閉会にあたりあいさつする、平田健二参院議長、2011年12月9日の本会議、参議院インターネット審議中継から。

 第179臨時国会が閉会しました。当初会期通り平成23年(2011年)10月20日(木)から12月9日(金)までの51日間でした。

 ことしの国会は第177通常会、第178臨時会とも当初会期末当日に延長を決議するという異例の事態が続きました。東日本大震災・東京電力原子力災害および台風12号という数百年に一度の大災害の年でした。そして今第179臨時国会中には、西岡武夫・参議院議長が在職中に亡くなりました。西岡さんは召集日・開会式から欠席していました。「国民の生命と財産を守る」という政治(政府、国会)がもろくなっている世相を象徴させるような出来事がありました。後任に平田健二さんが選ばれました。

 その中で、「復興債」「復興特区」「復興庁」の東日本大震災復興3点セットが成立。復興債は25年償還となりましたが、未曾有の災害からすれば妥当な年数だと感じます。総額12・5兆円の平成23年度第3次補正予算が成立しました。原子力災害のため、審議が難航していた原子力協定4条約(韓国、ベトナム、ロシア、ヨルダン)が承認され、将来への種をまくこともできました。

 第177通常国会での自民党の議員立法3点セットのうち、第178臨時国会で成立した「塩崎法(原子力発電所事故の調査委員会設置法)」にもとづく両院合同調査会が衆参15人ずつで発足しました。これは衆院と参院の委員室を相互に使うスタイル、QT党首討論(国家基本政策委員会)と同じスタイルで開かれました。ただ、会長は衆院議院運営委員長(小平忠正さん)に固定されました。両院による審議の新しいスタイルが生まれました。もう一つ「片山法(二重ローン軽減法)」も衆院で修正のうえ、参院に回付し成立しました。橋本聖子さんらが提出していた「私学の建物の復旧助成特措法案」は成立しませんでした。

 直近の民意である「衆参ねじれ」(2010年7月11日の第22回参院選)。有権者の一部には「お灸が過ぎた」と思っている人もいるでしょうが、「ねじれの成果」がありました。ねじれもたまには良いものです。政府が平成23年4月1日施行を想定して提出した「国税改正法案」のうち、第177通常国会、そして第178臨時国会などで分割して成立させてきた部分を除き、継続審査となってきたもののうち、相続税増税および法人税減税がついに成立しませんでした。すでに12月ですので、廃案になると考えられます。政府の税制改正大綱に基づき、提出された増税法案がハウス(国会)での議論の中で廃案になるのは珍しいのではないでしょうか。これは、民自公3党の税調会長による実務者協議のなかで、野田毅・自民党税調会長が党の方針を踏まえて認めなかったようです。ですから、これは衆参ねじれの成果、「熟議」と言えるのではないでしょうか。政府・民主党は平成24年度税制改正大綱を今夜にも決定する見通しです。ところが、これまでの報道で、「積み残しの相続税増税を平成24年度税制改正大綱に盛り込む見通し」という報道が散見されました。これが法案として国会で審議される2012年3月ごろ、衆参の議席構成はことしとまったく変わりません。その状態で、同じものを盛り込むのは不自然というよりも、政府が国会に喧嘩を売るようなものです。メディアが政治部でも経済部でも、すべて「国権の最高機関は国会である」という当たり前の前提を、再確認すべきでしょう。

 自民党が衆参とも委員長を務める「決算委員会」は、参議で平成21年度決算を不認定としました。このなかで、鳩山内閣が政権交代直後に、閣議決定で、予算の執行を一部停止したことについて、財政民主主義に反するという指摘が自民党・公明党からありました。たしかに予備費使用の国会での事後承諾は数百億円単位なのですから、金額から言っても、何らかの国会への報告はあって法律の定めはなくても、あってよかったのかなと考えます。私自身も当時、「予算の執行停止は大臣命令でできる」ということを与党初体験の総理側近にサジェスチョンした経緯もあり、改めて議事録を読み反省します。

 日本郵政改革関連法案、国家公務員給与引き下げ関連法案は、第180通常国会の冒頭で審議する運びとなっています。ただ、法案の修正の余地はかなり大きいと思います。

 ハワイでのAPECにあわせて、野田佳彦首相のTPP(環太平洋パートナーシップ条約)の交渉への事前協議について、国論を二分する議論が巻き起こりました。これは当然ですが、しっかりと足腰の強い議論となり、80年前のブロック経済化の流れよりもはるかに進歩した輿論をみせることができました。2020年の第32回オリンピック・第16回パラリンピックの東京への招致決議が衆参とも全会一致でなされました。

 強行採決は一度もなかったのですが、会期末当日の衆院外務委員会で、参院先議の「日本とペルーの経済連携協定(EPA)」と「日本とメキシコの経済連携協定(EPA)の改定議定書」の条約2件の審議に自民党ら欠席。質問時間を「空回し」したうえで、採決され、承認されました。今国会での参院先議の議案成立もこの2件だけでした。

 参院では会期末に、自民党と公明党が一川保夫防衛相と山岡賢次国家公安委員長(兼)消費者担当相の問責決議案を提出しました。1998年夏の参院選で第2次民主党が結党直後に大躍進(橋本首相が退陣)した後の秋の臨時国会で、民主党の北澤俊美・参院国対委員長らの指揮で、額賀福志郎・防衛庁長官を問責して以来、6人目・7人目となりました。また参院議員である大臣への問責決議案は過去何度も提出されていますが、可決されたのは一川さんが初めて。仲間意識の強い参議院では特筆すべき歴史的出来事となりました。年末に2大臣が問責されるのも2年連続です。あまり「風物詩」にしない工夫が政府・民主党幹部に求められます。13年前の額賀大臣は、就任前に発生した防衛庁内の不祥事の対処を問われた問責でしたので、一川防衛相をかばいきるには、理論武装面ではかなり厳しいと言わざるを得ません。私見ですが、どうも一川さんは辞めたいような表情も見て取れる感じがしますが、どうなんでしょうか。

 提出されなかった法案としては、「衆議院区割り審設置法改正案」で、最高裁が明確に違憲とした「1人1枠方式」と「2010国勢調査に基づく、2012年2月25日までの新区割り勧告期限」の2つの条文を手直しする法案が出せませんでした。通常国会冒頭でも間に合いますが、仮に2012年3月15日までの「第1期間」に小選挙区選出議員が欠けたら、4月22日(日)に補欠選挙があります。仮に2つ以上の選挙区での統一補欠選挙となり、現行の区割りで選挙をした場合、ついに裁判所は選挙の無効・やり直しを命じる可能性があるのでは。今国会では、民主党幹事長代行の樽床伸二さんが各党協議会座長として、自民党実務者の細田博之さんの間で、定数是正(区割り審設置法の改正)では合意済みでした。ですから改正法案は衆参ねじれでも可決・成立したはずです。とはいえ、7つの中小政党にとっては、定数是正の次にある「比例定数削減」、そしてそのまた次にある「選挙制度の抜本改革」は組織としての存亡の危機につながります。いかにも「政治」という感じがするマターですが、もう少し歩み寄れるように第180通常国会に先送りとなりました。樽床さんの胆力が試されます。ただ、私は現段階では、樽床さんの政治家としての資質に対して懐疑的にならざるをえない心境です。

 12月24日ごろに、平成24年度予算(案)が閣議決定される見通しです。さらに税と社会保障の一体改革大綱の素案を年内につくり、それをもとに与野党協議で成案を得るスケジュールになっています。第4次補正予算案、郵政改革法案、国家公務員給与引き下げ法案は通常国会冒頭に審議入りすることになりそうです。それから予算。そして、平成24年度の特例公債法案、消費税増税法案が議題となる、3月・4月以降は、解散含みの展開になるのは決定的です。私たち有権者もそろそろ、次の総選挙で、小選挙区はどの政治家、比例代表はどの党に入れれば、参院のねじれは続くとはいえ、国益・国民益、そして家族と自分の利益になる政府をつくれるのか。情報収集とその整理、分析、話し合いを始める時期に入ってきました。

 なお、決算審査での松野信夫さんの質問などいくつか面白いなあ、と思いながら書くタイミングを逸していた問答がありますので、年末までにまた書いていく予定です。

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野田総理、「特別会計の見直し」「出先機関の原則廃止」法案を通常国会に提出へ 記者会見

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 野田佳彦首相は2011年12月9日(金)の午後5時から、首相官邸で、大震災イヤー国会(3会期289日間)の閉幕後に記者会見しました。

 この中で野田さんは、「国の特別会計の見直しや、出先機関の原則廃止についても、来年の通常国会での法案提出を目指し、検討を加速をしていくつもりでございます」と述べました。特会見直し法案、出先機関原則廃止法案を提出し、成立をめざします。仮に衆参ねじれ国会でその見通しが立たない時のために、マニフェスト代わりになるしっかりとした法案を作成する構え。民主党政策調査会(前原誠司会長)の下に置かれた行政改革調査会(岡田克也会長)が議論し、第180通常国会前に法案をつくります。次期衆院選で対抗馬(支部長)を自民党が擁立できていない選挙区の官僚出身衆院議員らが主導する既存の「見直しプロジェクトチーム」など党内資源を活用するものと思われます。

 野田さんは2012年3月(予定)に提出する消費増税準備法案を念頭に「最重要課題である社会保障・税一体改革については、年内をめどに6月に取りまとめた成案を具体化し、超党派での議論に付す素案を取りまとめるよう、先日の政府・与党での社会保障改革本部で指示をいたしました」として、今月末(2010年末)を「めど」に党内「素案」をまとめて、3党協議での「成案」に向かうスケジュール感を示しました。

 これに関連して、あす朝放送になるTBS「時事放談」の収録で、民主党最高顧問の渡部恒三さんが、「野田首相は年内の党内決着できますか?」との問いに、「なかなか容易でありませんね。あんまり力まないほうがいいのに、やり方が下手なんだ」と語ったとTBS(JNN)ニュースが伝えています。

 これは小沢一郎グループが政党助成法第5条の「政党交付金の交付を受けようとする政党は、その年の1月1日現在における次に挙げる事項を、基準日の翌日から起算して15日以内に、総務大臣に届け出なければならない」との条文を悪用し、12月31日までに民主党(1998年4月結党)を離党し、小選挙区選出議員に限らず比例選出議員も含めて、新党大地(2005年8月結党)への移籍や新党を立ち上げたり、あるいはそれをほのめかすことで影響力を持とうとしたりすることを防ぐために、「素案」の決定を1月にずらすよう示唆したものと思われます。

 一方、民主党幹事長代行の樽床伸二さんは金曜日の定例会見で、「素案の段階で民主党の意見が決定するわけではない」と述べました。これは12月末を素案が決定しても、3党協議にボールを投げて、「成案」が返ってきた段階で党議決定になるという予防線を張ったものと思われます。

 小沢一郎グループの動きは、新進党解党(1997年12月31日解党)から14年経って、国民に見抜かれている、という観測もあります。2010年1月1日午後1時からの「小沢一郎邸新年会」はインターネット生中継されました。そして、正念場国会を経て、来年の1月1日は、小沢さんはインターネット生中継に値するような具体的なメッセージを発することができるのか。きのうからめっきり寒くなりました。私は消防団員ではありません。ぜひ消防団員の方は年末年始にかけて、火の用心、見回りをよろしくお願いします。

野田内閣総理大臣記者会見 -首相官邸ホームページ-

【野田総理冒頭発言】

 本日をもって10月20日以来、会期51日間にわたりました臨時国会が閉会をいたしました。今次国会の最大の成果は、東日本大震災からの復興、日本経済の立て直しという、この内閣が必ずやり遂げなければならない課題に大きな一歩を踏み出せたことであります。具体的には、既に先日1日の記者会見でご報告をさせていただいたとおり、12兆円を超える規模の第3次補正予算と、その裏付けとなる復興財源確保法が成立をいたしました。その後、会期末までに、法人税を5年間無税とするなど、規制、税制の特例を措置する復興特区法、省庁の縦割りを排してワンストップで対応する復興庁設置法についても、与野党が実務者レベルで建設的な議論を積み上げ、最終的な成案を得ることができました。これらにより、被災地の復興を進めていく仕組みがきちんと揃うことができました。力強い復興の実現をスピードアップさせていきたいと考えております。また、大幅に拡充した立地補助金など、3次補正予算に盛り込んだ施策を着実に実行し、円高、空洞化対策を加速をさせていきたいと考えております。本会議や予算委員会を始め、幅広く質疑に対応いたしました。私が出席をした国会審議は総計29回に及んだところであります。与野党の真摯な議論を通じて、様々な知恵を出していただき、より良い内容の法案に仕上げていただきました。与野党の国会議員の皆さまに改めて感謝を申し上げたいと思います。

 他方、この国会で残念ながら成案を得られなかった法案も残りました。特に、復興財源を捻出する上で重要となる公務員給与削減法案と郵政改革法案、そして非正規雇用の適正化を図る労働者派遣法改正案を成立させられなかったことは、忸怩たる思いが残ります。輿石幹事長を中心に、自民、公明両党にこれらの法案の成立をお願いをしてまいりましたが、会期を延長しても成立の見込みは立たず、この国会での成立を断念をいたしました。国会閉会後も、各党会派との協議を進めて、合意形成を図っていきたいと考えております。得られた成案を来年の通常国会で審議し、できる限り早期に成立を期したいと考えております。

 また、1票の格差の是正、国会議員の定数削減を含む選挙制度改革といった、大きな政治課題についても成案を得ることができませんでした。これらについても、各党会派のご理解、ご協力を頂いて、早期に具体化を図りたいと考えております。

 この国会の期間中、外交課題にも着実に取り組んでまいりました。具体的には、欧州金融危機を中心に、世界の経済問題について幅広く議論したG20サミット、カンヌで行われました。TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る旨を表明するとともに、アジア太平洋地域の未来を語り合ったホノルルAPEC首脳会議、ASEAN諸国との絆をさらに強化することを目指したバリ島でのASEAN関連サミットといった国際会議に出席をしてまいりました。それぞれの機会に、日本の考えを積極的に世界に発信するとともに、各国首脳との信頼関係を深めることもできたと思います。外交にも休みはなく、年末に向けて引き続き様々な課題に取り組んでいく決意であります。

 前沖縄防衛局長の発言を巡っては、本日付で防衛大臣から関係者の厳正な処分を実施することの発表を行いました。防衛大臣と政務三役の給与自主返納も決定したところでございます。沖縄の皆さまの心情を深く傷つけたことを考えれば、当然の対応だと考えています。改めて、心から私からもお詫びを申し上げたいと思います。誠心誠意が行き届かなかったことは遺憾であります。沖縄の皆さまからの信頼を取り戻すべく、政府全体でこれまで以上に誠実な努力を重ねていきたいと思います。

 本日の参議院本会議において、一川、山岡両大臣の問責決議が可決をされました。大変残念でありますが、厳粛に受け止めなければなりません。一方で、それぞれの担当分野で懸案事項が山積をしております。両大臣においては、自らを省み、襟を正して職務遂行に全力を挙げてもらいたいと考えています。

 今年も残り一カ月を切りました。年末にかけて、来年度の予算編成、4次補正の編成、原発事故の収束、日本再生の基本戦略の取りまとめなど、取り組むべき政策課題が数多く控えております。一つひとつ、着実に道筋をつけていきたいと思います。また、EU首脳会議が始まり、欧州債務危機の帰趨は予断を許しません。我が国としても、緊張感を持って注視し、必要があればいつでも機動的に対応したいと思います。

 最重要課題である社会保障・税一体改革については、年内をめどに6月に取りまとめた成案を具体化し、超党派での議論に付す素案を取りまとめるよう、先日の政府・与党での社会保障改革本部で指示をいたしました。国民の皆さまが自らの問題として幅広く議論していただくことは何より重要だと思います。

 なぜ今なのかを改めて説明をしたいと思います。世界最速の超高齢化社会は、実はこれからが本番であります。団塊の世代の方々が次々と65歳以上となり、制度を支える側から支えられる側になります。かつて、多くが1人の高齢者を支える胴上げだった人口構成は、今や3人で1人を支える騎馬戦型となり、いずれ1人が1人を支える肩車型へと変わってまいります。社会保障のための財政支出は、今のままでも毎年1兆円規模で自然に拡大をしてまいります。同時に、支える側である子育て世代や、若者を支援する、全世代型の社会保障の構築も切実な課題であります。加えて先ほど申し上げた欧州債務危機は、対岸の火事ではありません。日本は財政規律を守る国か、世界と市場が見ています。将来につけを回すばかりでは、国家の信用は守れません。

 こうした状況に対処していくため、何よりも政府の無駄遣いの徹底的な削減と税外収入の確保に懸命に取り組む決意であります。だからこそ、公務員給与削減法案と郵政改革法案を何としても早期に成立をさせたいと考えております。また、公務員宿舎の25%削減を断行するとともに、行政刷新会議の提言型政策仕分けをしっかりと受けとめ、そもそも論に立ち返って行政の効率化を進めていきたいと考えております。さらに、国の特別会計の見直しや、出先機関の原則廃止についても、来年の通常国会での法案提出を目指し、検討を加速をしていくつもりでございます。

 その上で安定財源を確保しなければ、社会保障の機能強化も、持続可能性の維持も果たせません。もちろん、実際に国民の皆さまにご負担をお願いする際には、経済の状況を慎重に見極める必要があります。そうした点も含め、国民の皆さまにも一緒に考え、幅広くご議論をいただきたいと思います。

 年末に向けて、全国津々浦々で、様々な不安を感じておられる方々に改めて思いを寄せたいと考えております。東日本大震災を始め、今年相次いだ自然災害に対応した生活支援としては、プレハブの仮設住宅に暖房器具を早急にお届けするとともに、台風で損壊した自宅の応急修理を急ぐなど、被災者の方々に寄り添う支援に万全を期したいと思います。中小企業の年末の資金繰り対策としては、金融機関に円滑な資金供給を要請をいたしました。土日を含め、30日まで関係機関の窓口を開き、相談に応じてもらいます。卒業を控えた高校生や大学生の就職支援策としては、ハローワークにおいて、ジョブサポーターの親身な相談など、きめ細かな対応を行ってまいります。このような取組によって、年末に向けて、国民の皆さまの暮らしの安心を守る対策をしっかりと講じていきたいと思っております。冒頭、私からは以上でございます。

 

【質疑応答】

(内閣広報官)
 それでは質疑に移ります。指名された方はまず所属とお名前をおっしゃってから質問をお願いします。
 山崎さん、どうぞ。

(記者)
 テレビ朝日の山崎です。今日、参議院で一川防衛大臣と山岡国家公安委員長の問責決議案が可決されました。今総理は、2人に対して職務遂行に全力を尽くしてほしいと言ってますけれども、このまま、この2人を続投させれば、次の通常国会で野党は審議には応じない構えです。そうすると、総理が強調した公務員の法案や郵政の法案なんて成立するわけないんですけれども、総理は、この通常国会の前までにこの2人を更迭、交代、内閣改造などの形で代えるのか、それともこの2人を残したまま通常国会に突っ込んでいくのか、明確にお願いします。

(野田総理)
 先ほどの冒頭の発言でも触れさせていただきましたけれども、今日参議院で2人の大臣の問責決議案が可決をされました。大変残念ではありますけれども、これは参議院のご意思でございますので、厳粛に受け止めたいと思います。その上で、なお一層、これまで以上に、両大臣については襟を正して職務を遂行してほしい。これが今の私の思いでございます。


(内閣広報官)
 それでは、次の方どうぞ。
 伊藤さん、どうぞ。


(記者)
 ジャパンタイムズの伊藤です。冒頭でもありましたけれども、総理はかねてからの国家公務員給与削減法案について成立に向けての強い意欲を示されていたと思うんですけれども、残念ながら今国会では成立を見送るという形になりました。しかし、おっしゃったとおり復興財源への影響が出るという可能性もありまして、野党側の主張を丸のみしてでも成立する、というお考えはあるのでしょうか。また、国会議員の定数削減や公務員の給与カットなど身を削る法案が成立しない中、国民に負担を強いる消費税増税について、国民の理解が得られるとお考えでしょうか。

(野田総理)
 公務員の給与削減法案についてはご承知のとおり、臨時、異例の措置でありますけれども、復興財源、いわゆる公的セクターでしっかりこの財源を確保していこう、被災地を支えていこう、そういう趣旨の下にマイナス7.8%の給与削減を内容とする法案を取りまとめて、各党のご理解を得られるように努力をしてまいりましたけれども、この会期末にこの段階においてご理解を得ることができませんでした。自民党と公明党の方から人勧を実施した上で、その上でこの給与削減をしようというご提案も出てきておりますので、そういう各党のご意見をこれからさらに政党間協議を通じて合意形成ができるかどうか。できれば年内に合意形成をしたいと思っておりますし、先ほど申し上げたとおり、それを踏まえて、通常国会なるべく早い時期に合意形成したものを法案として成立をさせていきたいと。そういうことで今思っておりますし、郵政の改革も、これは株式を売って、その売却収入を復興財源に充てるということもできますので、郵政改革法案についても、これも政党間の協議を年内になんとか合意をした上で、その上で来年通常国会のなるべく早い時期に成立を期していく、ということをやっていきたいと思います。
 この二つの法案だけではなくてですね、やはり税外収入、そして歳出削減、不断の努力でやっていかなければいけないと思っています。冒頭のところでも触れましたけれども、特別会計を整理するものを、法律として提出することが元々決めております。これを深堀りをしていきたいというふうに思っています。それから先ほど言った公務員宿舎の削減であるとか、あるいは議員定数の問題もあります。これらのできることは必死に取り組んで、社会保障と税の一体改革と同時にしっかりと実現をする、ということを念頭に頑張っていきたいというふうに思っております。

(内閣広報官)
 それでは、次の方。
 犬童さん、どうぞ。


(記者)
 日本経済新聞の犬童です。消費税に関してお伺いします。総理は今年1月、財務大臣だったときに財務省の年頭訓辞で、税制の抜本改革について政治生命、命をかけて実現するとおっしゃられています。今同じことをおっしゃることはできるでしょうか。来年の通常国会に提出する消費増税の準備法案に、職を賭して成立を期するという覚悟はありますか。お伺いします。

(野田総理)
 これは私はどの内閣においても、もはや先送りのできない待ったなしの状況だと思っております。理由、問題意識は先ほどお話をさせていただきました。ということは、これは当初の既定方針どおり6月に成案をまとめましたけれども、年内をめどに、政府与党としての考え方をまとめる素案を作る。素案を作ったならば、それに基づいて与野党協議をお願いをして、そしてできるならば党派を超えて合意形成をして、それを基に大綱にして、その大綱を法案化をすることによって年度内にその法案を提出をする、という段取りをしっかりたどっていきたいというふうに思いますし、それを実現をするための思いは不退転の決意でございます。

(内閣広報官)
 それでは、次の方。
 それでは竹中さん、どうぞ。


(記者)
 ロイター通信の竹中です。東京電力に関してお伺いします。公的資金の投入、実質国有化という報道がございます。こうした手続きをスタートする初めの一歩になる、それ自体が、要請自体が東京電力から来ていないということでございますが、今後の除染とか廃炉とか賠償を考えると、東京電力が財務的に非常に厳しい状態になるのは明らかだと思います。こういった状況の中で、野田総理ご自身の東京電力に対する公的資金の投入についてのお考えをお伺いできればと思いますが、もし投入しないとすれば、どうして、どういうふうにしてタイムリーな除染とか安全な廃炉とか十分な賠償、そういったものを賄っていけるのか、といったところをもしよろしければお伺いできればと思います。

(野田総理)
 来年の春には、原子力損害賠償支援機構と東京電力が共同で総合特別事業計画をつくることになっています。というまずプロセスがあるということと、今ご指摘もありましたけれどもこれについては、原子力事業者から申請を受けて資金援助を行う、というような法律の枠組みになっています。という前提で申し上げますと、今政府として、今一部報道のお話ございましたけれども、報道に出ているようなことを一つの定まった方向と決め打ちしているわけではございません。政府としてはあらゆる可能性をこれから検討していく、という現段階であるということでございますので、私からまたそれ以上に踏み込んで一つの方向性を今言及する段階ではございません。

(内閣広報官)
 それでは、次の方。
 それでは和田さん、どうぞ。


(記者)
 フジテレビ和田でございます。社会保障と税の一体改革について、ちょっと違うことから質問させていただきたいと思うんですけれども、これはなかなか難しいと皆思っていると思うんですが、自民党は解散・総選挙が先で与野党協議どころじゃないと言っていますし、足元の民主党内からも反対署名とか新党の旗上げですとか、与野党とも政局的に絡めて消費税引き上げ反対する動きがあるわけです。こういうまず重要政策課題に政局を絡めることについて、総理ご自身どんな感想をお持ちか、ということと、それからこうした動きに抗して、なかなか一筋縄ではいかないと思うんですが、段取りは先ほど伺いましたが、どう上手く民主党内を説得し、野党側を説得して素案、法案要項、法案をまとめていかれるんでしょうか。

(野田総理)
 いろいろご意見もあるでしょう。だけどその、政局に絡めての話は本当にしているのかどうかわかりません、これについては。私はやはり粛々と、6月に政府与党で成案をまとめたわけです。成案をまとめたものを8月に閣議決定をしてスケジュールどおりにやっていきましょう、ということを決めているわけです。そして、私も代表選で明確にそのことを主張させていただきました。突然別にカンヌで言ったわけではなくて、国会の審議でも十分に二十数回以上お話をしていることです。そういう経緯からすると、これから年内、もう既にキックオフはいたしましたけれども、まずは社会保障のあるべき姿、全体像を作った上でそれを支える安定した財源をどうするか、と議論をして具体化をしていくということであって、その手順を着実に踏んでいくということです。その都度いろいろなこと、どういうことが起こるかこれは想定できませんけれども、私はこの筋道をしっかりとたどっていくということに尽きます。その素案をまとめた暁には、野党の皆さまにご理解をいただくように何度でもお願いをしていきたいというふうに考えております。

(記者)
 党内も野党もそういう状況に今あるとお考えでしょうか。すんなり手順どおり進むと・・

(野田総理)
 これからですから。

(内閣広報官)
 それでは、次の方。
 それでは上杉さん、どうぞ。

(記者)
 フリーランスの上杉隆です。3月11日の震災から9カ月経ちました。当時、総理も閣内にいた前政権の中で、工程表の件に関してなんですが、ステップ2完了を9カ月で終わり、そして安全に避難民が戻れるという最初の発表がありました。また当時、市場に出ている食品は全て安全ですという枝野前官房長官の発言、それから格納容器は健全に守られている、レベル7に到達するような事象ではない。このような発言がありましたけれども、この当時の政府見解はどうも今現在違っているんではないかと思うんですが、そのことに関して変更、つまり訂正はあるのか。あるいはですね、なければそのままで結構なんですが、例えば粉ミルクからセシウムが検出されたとか、あるいは先ほど総理ご自身の冒頭の発言で事故の収拾を来年度にするという発言があったので、ちょっと前者の発言と矛盾するんじゃないかということがあるんで、その辺り、かつての政府見解から変更があるか、訂正があるのか、なければお答えいただかなくて結構です。

(野田総理)
 確か今年の4月にですね、事故収束に向けての工程表をつくりました。そしていわゆる第2ステップ、冷温停止状態をつくるには来年の1月までという工程表だったというふうに思います。その工程表をなるべく前倒しをしようということで取り組んできて、なんとか年内にそれを発表できるかどうか、という今最終的な調整をしています。冷温停止状態にするということは、これは圧力容器の底部のところの温度を本当に冷温になっているかどうか、現時点ではこれは冷温になっているというふうに思います。加えて放射性物質の管理が安定的かどうか、こういう観点から冷温停止状態であるかどうか等々の総合の判断をすることになっていまして、それはその工程表に基づいて作業を進めてきてそしてそろそろ結論を出せるかどうか、という状況だというふうに思います。なお、例えばコメの問題。一部地域から出荷停止という状況になりました。それから今粉ミルクの問題等々出ております。食べ物についてはこれまで以上に細心の注意を払ってですね、検査をしていく。そして国民の皆さまに安心安全をきちっとご説明できるような環境整備をしなければいけないということは、依然としてこれはやはり宿題として残っているというふうに思っています。

(記者)
 安心・安全という部分では、最初の工程表の手順では、除染が終わった地域に住民をお戻しするというふうな話だったんですよ。除染が終わった地域から。ところが現状では、お戻りになってから除染をすると変わったんですが、180度話が違うんですが、安心・安全の精神から逸脱するんじゃないでしょうか。

(野田総理)
 いわゆる冷温停止状態を確立をすると。ステップ2が終わった段階で警戒区域の問題とかのゾーニングをどうするか、という話になってまいります。その警戒区域等の見直しをする際に一日も早く故郷に帰還できるために、どの地域からどういう形で除染をするかという、そういう作業になっていくというふうに承知をしています。

(内閣広報官)
 それでは、次の方どうぞ。
 それでは加納さん、どうぞ。

(記者)
 産経新聞の加納です。普天間移設問題についてお伺いします。今回、一川防衛大臣の問責決議案が可決したことで、普天間問題を進展させる大臣として、国会の意思としては不適格であるという意思が示されたわけですけれども、このまま普天間の環境影響評価書提出を一川さんにやらせて、来年の埋め立て申請、そういったところまで彼に担当させるのかどうか、それが一つです。それから、準備書提出をめぐりましては年内提出に向けて準備する、それで実際提出するっていうことはまだ明確にされていないんですけれども、そうした方針を総理が年内に沖縄を訪問して説明し、事態を打開する決意はあるのでしょうか。

(野田総理)
 一川大臣に関する問責についての認識は、先ほどの山岡大臣のものと含めて私なりの今の姿勢をお伝えをしたつもりですが、その中で果たさなければならない職責の中に普天間の問題のみならず、他にもいろいろ防衛に関連する案件はございますが、そういう職責を果たしていただきたいと思っています。その中で、環境影響評価書については年内に提出をする準備をするということをずっと申し上げてまいりました。年内に提出をする準備も、これは一川さんの職責の一つだというふうに思っています。私の訪問時期については、これは適切な時期に訪沖したいというふうに考えております。

(内閣広報官)
 それでは、次の方どうぞ。
 それでは山下さん、どうぞ。

(記者)
 北海道新聞の山下です。問責決議について改めて伺いたいんですけれども、問責決議は法的拘束力はありませんけれども、過去、可決された場合はいずれも問責の対象者が交代につながっています。その辺についてですね、そういう現状について総理はどのように思われるか、法的拘束力と問責決議との関係について伺いたいということと、もう1点、ねじれ国会になってから問責が会期末で可決されるのが恒例になっているようなこともあって、政局という点の使われ方をしているんじゃないかという見方もありますけれども、その点について一般論で結構ですので、考え方をお聞きしたいと思います。

(野田総理)
 さっき申し上げたとおりですね、参議院という一つの院においてこういう意思が示された、決議が可決されたということは残念ではありますけれども、厳粛に受け止めなければなりません。最近の傾向としてそれが政局的なのかどうなのかということも、一般論では語るのもどうもいかがなものかと。それが一つの院の意思ならば厳粛に受け止めるということが基本だとは思います。思いますが、ご指摘のあったとおり法的拘束力があるわけではございません。むしろ大臣というのは、国会の中で説明をしなければならない義務というものもあります。それをどういうふうに考えていくのかということだと思います。

(内閣広報官)
 それでは時間が迫っておりますので、最後の質問にさせていただきます。 それでは佐々木さんどうぞ。

(記者)
 時事通信の佐々木です。先ほど、総理は国家公務員給与削減法案と郵政改革法案について、年内に与野党合意できればなるべく早い時期に成立させたいとおっしゃった。国会は通常1月下旬に召集されますけれども、できるだけこれを前倒し召集して、4次補正とともに冒頭処理したいという、そういうお気持ちなんでしょうか。国会召集は内閣はお願いする立場ですけれども、その辺のお考えをお聞かせ下さい。

(野田総理)
 まだそこまで国会の召集時期まで詰めた考えを持っているわけではございません。これからのいろいろな年内の取り組みなども含めて、特に予算編成等々がございますから、そういう作業を終えた後に判断をしたいというふうに思っていますが、思いとしてはさっき申し上げたとおりであって、公務員の給与削減法案も郵政の改革法案も、なるべく早い段階でいろいろご意見というのはそれぞれわかってまいりましたから、それをいかに集約して合意形成できるかということを、年内にできれば合意形成できればと。それを踏まえて合意形成できるならば、後は法案の提出時期と審議の問題でございますので、なるべく早い時期にという思いを持っているということであります。

(内閣広報官)
 それでは以上をもちまして、総理記者会見を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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